栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

症例:CCJM 20歳女性 口角炎

case report。
口角炎の鑑別を考えるべし!

症例:20歳女性 口角炎
Cleve Clin J Med. 2018 Aug;85(8):581-582.

 20歳女性。口周囲に痛みを伴う赤いびらんが4か月前から出現していた。嚥下障害や全身倦怠感、下痢、グルテン不耐症、糖尿病などの既往は無かった。歯科医が抗真菌薬軟膏を処方したが、症状は改善しなかった。
 身体視察では、口角にびらん性皮膚炎と亀裂が認められた。

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(本文より引用)

質問. 診断は?

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論文:Procohort 進行期認知症患者での肺炎治療の生存率と快適さ

ちょっと前の文献なのですが、肺炎患者で抗菌薬を使用することが症状緩和につながるか?といったテーマで考えた場合にこの文献に行き着くことが多い様で、一応読んでおこうと思っています。

進行期の認知症患者さんに肺炎が多い事は周知の事実と思いますが、実際施設入所中などで、肺炎を発症すると抗菌薬治療され、入院するというのは非常に良くある状況かと思います。

ただし、この抗菌薬治療の効果はきちんと証明されていないのが現状です。過去の研究では生存・快適さともに評価はされている模様です。

進行期認知症患者での肺炎治療の生存率と快適さ
Survival and Comfort After Treatment of Pneumonia in Advanced Dementia

Arch Intern Med. 2010;170(13):1102-1107
【背景】
 肺炎は、進行期認知症患者で人生の採取段階に差し掛かると起こりやすくなる。抗菌薬治療が生存率および快適性を向上させるかどうかは、未だ明らかになっていない。本研究の目的は、進行期認知症患者の肺炎に対する抗菌薬治療が生存および快適性にどの程度効果があるかを調べた。
【方法】
 2003-2009年までに、マサチューセッツ州ボストンの22施設で認知症として入院している323名の入居者データを前向きに追跡した。組み入れ入居者は、18ヶ月間もしくは死亡まで追跡調査された。
 全ての肺炎疑いエピソードが確認され、各エピソードに対する抗菌薬は、①無し、②経口薬のみ、③筋注のみ、④静脈内投与(または入院)の4群に分類された。各群のエピソード差異を調整するために多変量解析が行われた。
 プライマリアウトカムは、肺炎エピソード後の生存率または快適性とした。快適性は、Symptom Management at End-of-Life in Dementia scaleで評価した。
【結果】
 225件の肺炎が疑われるイベントがあり、
①抗菌薬なし 8.9%
②経口薬のみ 55.1%
③筋肉内 15.6%
④静脈内投与 20.4%
だった。
 多変量解析では、抗菌薬治療群はどの群も非治療群と比べて全て生存率を改善した。
①経口薬 調整HR 0.2(0.10-0.37)
②筋注 調整HR 0.26(0.12-0.56)
③静注群 調整HR 0.20(0.09-0.42)
 快適性は抗菌薬治療を受けている群の方が有意に高い結果だった。
【結論】
 施設入所中の進行期認知症患者を持つ肺炎疑い患者に対する抗菌薬治療は、生存期間を延長するが快適性は改善しなかった

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【批判的吟味】
・まずは論文のPECOから確認します。
P:施設入所中の進行期認知症患者
E/C:①抗菌薬なし、②抗菌薬経口群、③抗菌薬筋注群、④抗菌薬静注群
O:18か月後の生存率、快適性
T:前向き観察研究
・平均年齢 86歳、女性が81.3%と高く、ほとんどが白人でした。DNH(Do not Hospitalize)のオーダーが50.7%に出ている様な群です
・22施設323人はこの手の検証ではサンプルサイズが少ないかもしれません
・研究デザインとしては、通常効果検証であればランダム化比較試験が必要にはなります
・観察研究では未知の交絡因子の調整などが十分とは言えないかもしれません
・生存率は良いですが、快適性の尺度は臨床的にどの程度なのかがよく分かりませんでした。
・肺炎の診断が十分ではないかもしれないとありましたが、胸部X線撮像した患者の84%に肺炎があったたそうでまずまずですね
【個人的な意見】
 生存期間は伸びるけど、快適性は下がるというのはある意味大変示唆的な結果かもしれません。とはいえ、明らかに死期が早まるのは看過できないだろうなあ・・・
 この辺りはまだまだ質の高い研究が必要ですね。

✓ 認知症進行期の患者さんに対する抗菌薬は死亡率をさげるが患者の快適性はさがる

 

メモ:緩和用語の曖昧性〜comfort care〜

最近気になる用語”comfort care”
意識高い系が使うワードでしょうかねえ。

個人的に気になる似たような言葉は”best supportive care”でしょうか
ってゆーか、普通の治療もbestなsupportive careだと思いますけどねえ。

何にせよ、何かに名前をつけてしまうことで思考停止するというこの現象はしばしば問題になりますね。

個別ケアと正確な説明が不可欠という結論には納得です。

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