栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

症例:CMAJ 52歳男性 まぶたが伸びる!

case report。
おお!これはびよ〜んってなったら結構衝撃だなあ。

症例:52歳男性 まぶたが伸びる!
CMAJ 2015.DOI:10.1503 /cmaj.140409

 52歳男性、左眼の発赤および違和感を主訴に外来を受診された。人工涙液や点眼薬を使用したが効果無し。診察時に両側とも深い皺をもった二重まぶただった。左上眼瞼の眼瞼下垂があり、逆さまつげも認めていた。この逆さまつげが角膜と接触して慢性炎症を起こしていた。
 角膜のフルオレセイン染色の結果、びまん性の点状上皮欠損が認められ、細隙灯検査では乳頭状結膜炎の所見だった。眼瞼は簡単に引っ張ることができ、反転可能だった。

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(本文より引用)

質問. 診断は?

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症例:BMJ 27歳女性 まぶたが腫れた

case report。
これで診断がつくかだな・・・
とはいえ7年だし、流石に色々やるでしょうが、snap diagnosisは無理な気がする。
しかも片側性とは・・・
皆様いかがでしょうか?

症例:27歳女性 まぶたが腫れた
BMJ 2019;365:l1654 doi: 10.1136/bmj.l1654

 27歳女性、日光曝露後から左上眼瞼に徐々に増悪する片側性浮腫が出現し、7年持続するとのことで外来を受診された。
 眼底検査を行おうとしたが、開眼が難しかった。視力および眼球運動は正常だった。

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(本文より引用)

質問. 診断は?

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論文:横断調査 内科専攻医プログラムにおける診断エラーの教育と報告システム

診断エラーに関しては教育プログラム開発に多少なりとも関わっていることもあり、この領域の専攻医教育には色々興味が出てきています。
この辺りなら正直できなくはないかなあと思わなくもないですが、いかがでしょうか?

この背景には、2015年に国立医学アカデミー(National Academy of Medicine)がランドマークとなるレポートを発表しました。

「Improving Diagnosis in Health Care」の中で、診断エラー(diagnostic error)を以下の2つに関するエラーと定義しています。
①患者の健康問題に対して正確かつ適時に説明する
②その診断について患者に適切に説明する

診断エラーに対処する初期研修プログラムでは、医療従事者の医学的知識、臨床推論、システムによる気付きに重点がおかれてきました。

今回はその内科プログラムのシステムからの報告です。

内科専攻医プログラムにおける診断エラーの教育と報告
Education and Reporting of Diagnostic Errors Among Physicians in Internal Medicine Training Programs

JAMA Internal Medicine November 2018 Volume 178, Number 11
【方法】
 2016年6月2日から2017年3月29日まで、コネチカット州の2カ所の大学病院と4カ所の地域関連病因の9つの研修プログラムで専攻医および指導医が調査された。参加者は電子メールまたはウェブもしくは紙ベースでの調査が行われた。
 上記医学アカデミーの診断エラーの定義を参加者に提供した後に、医師が診断エラーについて以下の項目を質問した。
①研修プログラムは専攻医に診断エラーを報告するやり方を教えているか
②各医療機関は診断エラーにどのように対処しているか?
③診断エラーを報告するのをどうやって研修医に奨励しているか
④医師が診断エラーを報告することについて快適さを感じているか
⑤医師が「現在の報告システムが診断エラーを減らすのに役立ちます」という声明に同意しているか
 上記の項目について、統計解析を行い、サブグループ解析ではポアソンχ2検定を用いた。倫理委員会で承認され同意も取得されている。
【結果】
 調査対象の484人の医師のうち、回答率は55.0%(266人)だった。専攻医の回答率は 49.4%(196/397人)、指導医の回答率は 80.5%(70/87人)だった。回答者の大半は専攻医(73.7%)で、大学病院所属が 71.4%だった。
 全体の20.5%は診断エラーの報告について全く教えられていなかったと回答し、52.5%は医学部で教わったと回答した。また、49.8%が専攻医時代に診断エラーの報告について教わったと回答している。
 ほとんどの回答者が、診断エラーが発生した場合、チームメンバーに非公式のフィードバックを通して解決したと回答した(41%:104/253人)。
 専攻医がエラーを報告する方法として最も一般的な選択肢は、
①指導医へのエラーの報告 158/254人 62.2%
②専攻医の上級医へ報告 141/255人 55.3%
③匿名の報告システムを用いる 137/254人  53.9%
 だった。

 多くの医師(104/254人, 40.9%)が診断上のエラーを報告することを不快もしくは非常に不快と感じていた
 一方、回答者の半数(107/250人, 42.8%)は報告システムは診断エラーを減らすのに役立たないと感じていた。

 サブグループ解析においては、専攻医と指導医の間での違いが明らかとなった。専攻医は指導医よりも診断エラーを報告することに、不快・非常に不快と感じる可能性が高く(44.6% vs 30.9%)、診断エラーを指導医に報告すべきだと言っている割合いも少なかった(56.2% vs 79.1%)。

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(本文より引用)
【結論】
 米国内顆研修プログラムの専攻医と指導医のアンケートを通して、診断エラーの教育と報告システムに関する実態が明らかとなった。

【批判的吟味】
若い医師は、臨床経験の少なさ、懲罰行為への恐れ、報告システムに対する認識の欠如から診断エラーの報告に特に不快感を感じやすい
・今回の調査の最も大きな問題は、思い出しバイアスと社会的望ましさバイアスが関係しそうです。要は回答を社会的に望ましい自分を演じやすいというところです
・また、そもそもNAMの定義も微妙なところなので、これで判断するのも微妙な所です。

【個人的な意見】
 あくまでアンケート的です。一方で、これがJAMAIMに乗るなら、是非日本内科学会でもやりたいなあと思ったりします。というか、まずは自施設からでしょうか。でも匿名の報告システムだけが全てじゃないよなあとは思います。

✓ 米国内科専攻医プログラムにおける診断エラーの教育と報告システムは十分とは言えなかった