栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

MINERVA:おもしろ論文紹介コーナー 中耳炎に対する抗菌薬 他

ひさびさにミネルバです
テンポよくサクサクいきましょう。
移動時間にできちゃうのはラクチンです。
①抗菌薬が必要な中耳炎小児は誰?
②小児期の溺水
③スタチンと大腸癌
④GCAの診断
⑤タトゥー
⑥前立腺癌と精管切除
⑦12脳神経

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論文:RCT 介護施設での不適切処方の中止介入

介護施設での不適切処方の中止介入
Discontinuing Inappropriate Medication Use in Nursing Home Residents

Ann Intern Med. doi:10.7326/M16-2729

【背景】
 介護施設における不適切処方は臨床的な問題を引き起こすことはよく知られているが、介護施設において不適切処方を減らす介入についてはほとんど検証されていない
【目的】
 介護施設の処方内容を改善し不適切薬剤を中止することを評価する
【デザイン】
 実践的なクラスターRCT。クラスターは高齢者治療医と病棟毎に行われた
【セッティング】
 59カ所のオランダの長期療養型介護施設病棟
【患者】
 生命予後は4週以上はあると判断された入居者で薬剤治療を受けている患者
【介入】
 多職種による多段階薬物レビュー(3MR:Multidisciplinary Multistep Medication Review)。これは、患者情報の評価、病歴、薬剤の批判的吟味、医師と薬剤師の会議、薬剤変更の実行、から成っている。
【方法】
 フォローアップ4ヶ月後の、少なくとも1種類以上の不適切薬剤の中止成功(再発や離脱症状なし)と臨床アウトカム(神経精神症状、認知機能、QOL)
【結果】
 19人の老年医(33病棟)で3MRが行われ、16人の老年医(26病棟)で通常ケアが行われた。全体で426人の施設入所者(233人が介入群、193人がコントロール群)が平均144日間フォローされた。
 全患者の解析において、少なくとも1種類以上の不適切薬剤に成功したのは介入群で91人(39.1%)、通常ケア群で57人(29.5%)だった。調整RR 1.37(1.02-1.75)。臨床アウトカムはベースラインとフォローアップで変わらなかった。
【限界】
 3MRは一度しか行われなかった。いくつかの離脱症状や再発症状は見逃されている可能性がある。
【結論】
 3MR介入は、フレイルな高齢施設入所者の不適切薬剤の中止には効果的で、臨床アウトカムを悪化させなかった。
【批判的吟味】
 平均年齢83歳前後、女性70%前後、認知症患者 62-64%のデータ
 CCIは1.5程度
 ちなみに不適切処方については、Supplementの方に下記の記載

・duplicate prescriptions,
・medication for which no indication could be established,
・medication that should be avoided in elderly persons as much as possible,
・contraindicated medication for which there was a drug-disease interaction,
・medication for which there was a drug-drug interaction, and
・medication of which the benefit does not outweigh the drawbacks.

【個人的な意見】
 結論がうまいですね。臨床アウトカムを悪化させずに薬剤を減らすことができた!という風に持っていった模様ですね。
 過去研究でも施設入所者では不適切処方が入院や有害事象と関連すると報告されていて、特に降圧薬・ベンゾジアゼピン系・抗精神病薬の処方が問題になっています。
 過去の介入研究の効果は様々で、抗うつ薬中止後は鬱症状が出たり、降圧薬を中止すると血圧が不安定になったりしている模様です。

 今回の3MRの概要が所要時間と共に明記されていました。

①患者情報を確認する 20分
②薬剤レビュー 10分
③多職種会議 5分
④薬物調整の実施と評価 10分

お年寄りと子供たちが話しているイラスト

2017年10月 ACP Diabetes monthly HIGHLIGHT/MKSAP QUIZ/KEEPING TABS

以前から気になっていたDiabetes monthlyからの情報提供です。
糖尿病ケアはプライマリケア医にとって重要なタスクの一つです。
まあ、情報は何やら薬剤情報に偏っている気もしないでもないですが・・・

 

【HIGHLIGHT】
①2型糖尿病患者における週1エキセナチドの心血管イベント発生率はプラセボと同等である

Cardiovascular event rates similar between once-weekly exenatide and placebo in patients with type 2 diabetes

Effects of Once-Weekly Exenatide on Cardiovascular Outcomes in Type 2 Diabetes
N Engl J Med 2017;377:1228-39.

 これはNEJMに掲載された大規模ランダム化比較試験です。簡単に論文のPICOを紹介します。
P:14700人の2型糖尿病患者
I:週1エキセナチド注射群
C:プラセボ注射群
O:心血管死亡・非致死的心筋梗塞・非致死的脳卒中の最初の発症の複合アウトカム
T:ランダム化比較試験/ITT解析/企業COIあり
結果:
 プライマリアウトカムの心血管イベントは
・エキセナチド群 906/7396人
・プラセボ群 839/7356人
でHR 0.91(0.83-1.00)と両群に有意差を認めなかった
 安全性も両群で同等

 コメント:
 エキセナチドはバイエッタⓇの週1バージョンでビデュリオンⓇとして日本でも販売されています。かなり大規模に検証されていますが、残念ながらプラセボへの有用性は示されませんでした
 今回のポイントの一つは、治療レジメンの中止率で、エキセナチド群43.0%、プラセボ群 45.2%とされていて、よほどデバイスの問題があったか、run in periodが必要だったか?と考察されています。
 現時点で積極的に使用する薬剤ではないと理解しています。皆さまはどんな感じでしょうか?

②1型糖尿病患者に対するダパグリフロジンは追加効果がある
Dapagliflozin appears effective as adjunct therapy in patients with type 1 diabetes

Efficacy and safety of dapagliflozin in patients with inadequately controlled type 1 diabetes (DEPICT-1): 24 week results from a multicentre, double-blind, phase 3, randomised controlled trial
 2017 Sep 13. pii: S2213-8587(17)30308-X. 

 こちらはLancet diabetesに掲載されたランダム化比較試験です。こちらも論文のPICOを紹介します。
P:17カ所143医療機関に通院している1型糖尿病患者833人
  18-75歳、HbA1c 7.7%〜11.0%、少なくとも2か月はインスリン使用
  ベースラインHbA1c 8.53%
I:ダパグリフロジン5mg/日群 277人、ダパグリフロジン 10mg/日群 296人
C:プラセボ注射群 260人
O:24週時点のHbA1c値
T:ランダム化比較試験/ITT解析/企業COIあり
結果:
プライマリアウトカムのHbA1c値
・ダパグリフロジン  5mg群 -0.42%
・ダパグリフロジン 10mg群 -0.45%
体重減少は
・ダパグリフロジン  5mg群 -2.96%
・ダパグリフロジン 10mg群 -3.72%
安全性や低血糖症は有意差を認めなかった

 コメント:
 ダパグリフロジンはフォシーガⓇです。そしてCOIがばっちりのRCTですね。その他の効果として、インスリン使用量を減らしたりしており、HbA1c値・体重・インスリン量に良い影響が出るとのことです。とはいえ、いわゆるサロゲートアウトカムですね。この辺りは有望な補助療法と言うことになるかもしれません。
 とはいえ、今更ながら1型糖尿病患者の低血糖率の高さに驚きます。プラセボ群の80%に低血糖があるとのことですから、相当ですね。

 

③インスリンポンプは若年1型糖尿病患者のDKA・低血糖を減少させた
Insulin pumps reduced ketoacidosis, hypoglycemia in young patients with type 1 diabetes

Association of Insulin Pump Therapy vs Insulin Injection Therapy With Severe Hypoglycemia, Ketoacidosis, and Glycemic Control Among Children, Adolescents, and Young Adults With Type 1 Diabetes
JAMA. 2017;318(14):1358-1366.

 更にJAMAに掲載されたランダム化比較試験です。インスリンポンプのデータは少しずつ出てきていますね。
P:20歳未満の1型糖尿病患者でドイツ・オーストリア・ルクセンブルグの446カ所のセンター通院中
  1型糖尿病患者の小児・青年・若年成人30579人
  平均年齢 14.1歳、男性 53%
E:インスリンポンプ治療群 14119人
C:通常インスリン注射群 16460人
O:プライマリアウトカム 重症低血糖とDKAの頻度
  セカンダリアウトカム HbA1c値とインスリン総量・BMI

T:人口ベースの観察研究
結果:
プライマリアウトカム
重症低血糖
・ポンプ群 9.55/100人年 vs 注射群 13.97/100人年 -4.42(-6.15 to -2.69)
DKA
・ポンプ群 3.64/100人年 vs 注射群 4.26/100人年 - 0.63(-1.24 to -0.02)
 
セカンダリアウトカムでは
HbA1c
・ポンプ群 8.04% vs 注射群 8.22% -0.18(-0.22 to -0.13)
インスリン総量
・ポンプ群 0.84単位/kg vs 注射群 0.98単位/kg - 0.14(-0.15 to -0.02)
BMI
・有意差なし

 コメント:
 今回はポンプのポジティブデータでしたね。先日ACPJCで取り上げたBMJのクラスターRCTではネガティブデータでした。今回は若い人に限定したというのが、過去の研究と比べて異なる天かもしれません。

tyabu7973.hatenablog.com

 ポンプは今後更に精度が上がっていく可能性が十分ありますね。どちらにしてもこれからです。

 

【MKSAP QUIZ】
 問題概要:
 メトホルミン・グリピジドを内服しているが血糖コントロール不良でHbA1c 8.1%とコントロール不良の64歳男性。他の内服薬はリシノプリル・ヒドロクロロチアジド・アトルバスタチン。eGFR 45。シタグリプチン内服が追加となった。
 その際に起こすべきアクションは?
①グリピジド継続
②グリピジド減量
③グリピジド増量
④メトホルミン増量
 
 回答は・・・②ですよね。まあ、SU剤内服中にDPP-4を追加する場合には、SU剤減量した方が良いですよというところです。最近のBMJのシステマティックレビューでは、DPP-4阻害薬を追加することは、低血糖リスクの50%増加に繋がると報告されている。これは6か月の治療でNNH 17、12か月はNNH 15、1年以上でNNH 8と容量相関関係がある様です。
 
 Key point:
 SU剤にDPP-4阻害薬を追加すると低血糖リスクが50%以上増加する

 

【KEEPING TABS】
 2型糖尿病治療の第二選択薬をどうするかについて参考になる文献がDiabetes careに報告されています。Diabetes Care 2017 Aug; dc170213. 

 まず、大原則として、2型糖尿病治療の第一選択はメトホルミンです。ところがこの推奨に対するアドヒアランス不良が問題になっています。医療者がこの事実に気付いていないと中途半端な段階での第二選択薬の使用い繋がることがあり,この研究では、第2選択薬が処方される前のメトホルミンの処方状況が調査されています。

 52544人の2型糖尿病患者のうち22956人で第2選択薬が処方されていました。全体の8.2%(1875人)しか,適切にメトホルミンが処方されていなかった。28.0%(6441人)では、メトホルミンの処方自体がなかった。また、49.5%の患者でメトホミン推奨量が処方されていたが、残りの半分は推奨量では無かった。

※きちんとメトホルミンを使おうキャンペーン再び!