栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

ACPJC:治療 1型糖尿病患者ではインスリンポンプでも複数回注射でも2年後のHbA1cは変わらない

ACPJC紹介です。
基本的にはサロゲートアウトカムでの評価ですね。

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Relative effectiveness of insulin pump treatment over multiple daily injections and structured education during flexible intensive insulin treatment for type 1 diabetes: cluster randomised trial (REPOSE). 

REPOSE study group, Heller S, Amiel S, et al. 

BMJ. 2017; 356:j1285.

臨床疑問:
 1型糖尿病患者に対する、食事によって用量調節を行う構造化教育に加えたインスリンポンプもしくは複数回注射(Multiple Daily Injections:MDI)は、血糖コントロールを改善するか?

方法:
・デザイン:ラスターRCT (Relative Effectiveness of Pumps over MDI and Structured Education [REPOSE] trial)
 施設毎に食事摂取量による用量調整コース(DAFNE)を教育するインスリンポンプ群かMDI群かにランダムに割り付けられた。
・割り付け:隠蔽化あり
・盲検化:非盲検

・フォローアップ期間:2年間
・セッティング:英国イギリス・スコットランドの8カ所に二次医療センター
・患者:317人の成人1型糖尿病患者(平均41歳、60%男性、267人がSEdコース)で、診断から1年以上経過し、過去にインスリンによる有害事象が出ていない患者が対象。
 除外基準は、ポンプ治療やMDIを強く好む場合や適切なMDI療法、重篤な合併症の存在。

・介入:DAFNEによる調整を教育したインスリンポンプ群(n=156)とDAFNEで調整教育したMDI群(n=161)に割り付けられた。5-8例を1組として5日間の用量調節研修を行い、その後6-8週間後までフォローアップした。
・アウトカム:プライマリアウトカムは≧7.5%以上だった患者のHbA1c値のベースラインからの変化および≦7.5%の割合とした。
 セカンダリアウトカムは、中等度から重度の低血糖、DKAなどの有害事象とした。
 HbA1c 0.5%以上を臨床的に有意な最低限度の差と考え、サンプルサイズを計算すると248人が必要人数と算出された。
・患者フォローアップ:全体で78%、研修に参加した267人のうち93%がフォローされた。ITT解析。

結果:
 2年時点で、HbA1cは両群で-0.54%(-0.38 to -0.69%)低下したが、両群ともに有意差を認めなかった。中等度および重度の低血糖頻度も差を認めなかった。DKAはインスリンポンプ群の13%、MDI群の3.7%で発症していた。

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(本文より引用)

結論:
 1型糖尿病患者に対する、食事によって用量調節を行う構造化教育に加えたインスリンポンプ群とMDI群は、血糖コントロールに差を認めなかった。

 以下、紹介終わり。

 個人的にはポンプに注目はしているのですが、あまりポジティブデータは出てきていない印象ですね。血糖コントロール良くなって、低血糖減って・・・というバラ色な感じにはならなそうです。

 ポンプのメリットとして、より正確にインスリン注射ができる、ボーラス投与も自動化できる、基礎インスリン速度も調節できるなどがありますが、デメリットとして、医療費が高い事や低栄養リスクが増えるなどがあります。

 もともと、今回追加した用量調節の構造化教育はポンプで積極的に行われていましたが、MDIではあまり行われていませんでした。今回、両群に教育をおこなったことで、ポンプの利点は消えてしまったようにも見えます。要はポンプとか回数の問題よりも、適切に構造化した教育を行うことの方が重要であると言えるのかもしれません。

 で、最終的に持続血糖モニタリング(CGM)と組み合わせて自動化するのが最も良いのかもしれません。現時点のポンプは若干中途半端と言わざるを得ないかも知れません・・・

症例:IJCMI 57歳女性 腹痛

case reportです。あんまり出くわす機会は少ないですが、きっといつか出会うはず。

症例:57歳女性 腹痛

ISSN : 2376-0249 Vol 4 • Iss 1• 1000542 Jan, 2017 DOI: 10.4172/2376-0249.1000542

 57歳女性が2日前からの左下腹部痛で救急外来を受診された。バイタルサインと血算・生化は特記すべき異常所見なし。腹部診察では、左下腹部に腹膜炎をを疑う限局した腹痛を認めた。
 腹部・骨盤部CT検査では、大網梗塞や脂肪壊死を示唆するようなび漫性脂肪浸潤と軽度腹膜肥厚を認めた。

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(本文より引用)

質問. 診断は

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