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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

LESS IS MORE: 減薬の機会を逸して・・・ A teachable moment

さて、いつも通り。
これ、この間知ったんですが、レジデントの方々が書いている事が多いみたいですね。
若手奨励らしいっす。

では行ってみましょう。

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論文:RCT 急性咽頭炎に対するデキサメタゾンの効果

急性咽頭炎に対するデキサメタゾンの効果
Effect of Oral Dexamethasone Without Immediate Antibiotics vs Placebo on Acute Sore Throat in Adults A Randomized Clinical Trial

JAMA. 2017;317(15):1535-1543. doi:10.1001/jama.2017.3417

【背景】
 急性咽頭炎はプライマリケア領域では非常に大きなウェイトを占めており、不適切な抗菌薬処方の原疾患である。ステロイドは症状治療のための代替薬になり得るかもしれない
【目的】
 急性咽頭炎に対して抗菌薬なしの状況で経口ステロイド投与の臨床効果を評価する
【デザイン・セッティング・患者】
 2013年4月〜2015年2月まで、42カ所の南および西イギリスの家庭医療診療所で二重盲検、プラセボコントロールランダム化比較試験が行われ、576人の成人がプライマリケアを急性咽頭炎で受診し、抗菌薬処方が不要な患者が組み入れられた
【介入】
 経口デキサメタゾン10mg単回投与(n=293)またはプラセボ(n=283)
【メインアウトカム】
 プライマリアウトカム:24時間以内に症状が完全に消失した患者の割合
 セカンダリアウトカム:48時間以内に症状が完全に消失した患者の割合、症状の持続時間、VASスケール、医療機関受診、仕事や学校を休んだ日数、抗菌薬や他の治療の遅れ、副作用
【結果】
 565人がランダム割り付けされ、平均34歳(26.0-45.5歳)、女性 75.2%、介入の完遂率は100%だった。288人がデキサメタゾン群、277人がプラセボ群に割り付けられた。24時間時点で、デキサメタゾン群とプラセボ群の症状寛解率に有意差は認めなかった。抗菌薬処方なしの群も抗菌薬が遅れて処方された群も同様の結果だった。
 48時間時点では、デキサメタゾン群とプラセボ群の症状寛解率に有意差を認めた。差は抗菌薬が処方されていない群でも認められていた。その他のセカンダリアウトカムに有意差を認めなかった

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(本文より引用)


【結論】
 急性咽頭炎でプライマリケア医を受診した成人では、単回デキサメタゾンとプラセボを比較すると24時間時点での症状消失には関連しなかったが、48時間時点では有意差を認めた。

【批判的吟味】
・まずは論文のPICOから
P:急性咽頭炎でプライマリケア医を受診した成人
I:デキサメタゾン10mg単回投与
C:プラセボ
O:24時間・48時間時点での症状寛解率
T:ランダム化比較試験/ITT解析
・比較的若年の研究で仕事や学校に行っている人が75-80%程度います。喫煙者は18%。
・症状が興味深くて、咽頭痛あり、咽頭の炎症あり、嚥下時痛70%、扁桃の膿は10%前後で、体温は平均 36.8℃でした。またセンタースコアは3点以上が14%います。
・症状寛解率というのが実際にどの程度の効果の大きさになるのかはちょっと見えにくいです。
・ちょっと怒りポイントは、急性咽頭炎に対して約1/3強が結局抗菌薬処方しているという点。ステロイド群も115/288人、プラセボ群も108/277人に抗菌薬が使用されています。
・とはいえ、結構しっかりとした結果が出てしまいました。RR 1.31(1.02-1.68)で、NNT 12(7-146)でした。ただし95%信頼区間はめちゃ広いです。
【個人的な意見】
 以前から、ベテランの先生で風邪引いたときにステロイドを飲むといっている都市伝説的な先生がいるのは見聞きしていましたが、ついにランダム化比較試験がなされ、48時間時点では症状改善で有意差がついているというのは結構驚きでした。
 単回投与なのでまあそれほど副作用は出ないかなと思う反面、それでもステロイドはなあ・・・と先日出たBMJの短期間ステロイドリスクの論文をチラ見しながら考えてしまいます。今後、症例数を増やして大規模な検証が必要なのと、副作用アウトカムをどの程度までフォローするかもポイントかと思いました。

✓ 成人の急性咽頭炎に対してはデキサメタゾン単回投与で症状寛解に差が出るかもしれない

今週のカンファ:wheezeのJohnson分類/Todd麻痺は感覚障害がくるのか?/手が勝手にあがる・・・

カンファまとめです。
jpca2017行ってる間にはまとめきらんかったですね。
さて、まあ普通なものも含めて

wheezeのJohnson分類 Johnson classiffication of wheeze

 これは最近レジデントがよく用いるので。比較的欧米の影響を受けている施設(?)で汎用されている模様です(笑)。

0度:全く聴取されない
1度:強制呼気時のみ聴取
2度:平静呼気時にも聴取
3度:平静呼吸下で、吸気・呼気共に聴取
4度:silent chest

ということになっています。
ここからは私見。これ皆さん大元になった論文はお読みになってますでしょうか?
喘息の治療効果を評価したくて、その治療前後の症状評価のためにwheezeを分類したのが始まりの模様です。興味のある方は是非。

Comparison of the Oral and Intravenous Routes for Treating Asthma with Methylprednisolone and Theophylline. Chest 1988;Oct; 94(4):723-6

残念ながら、この分類は本来の重症度と相関するのかはよく分かっていないのが現状です。あくまで上記研究でJohnsonさんが分類してみたというExpert opinionではあります。これは臨床研究のテーマになりますね。本当にJohnson分類毎に転帰が変わるのか?治療内容に変化があるのか?

分類は重要なのですが、分類してもそれが何かに繋がらなければ単なる分類オタク担ってしまいますね。ちなみに、Johnson 1度の強制呼気のみのwheezeというやつは、N Engl J Med. 2013 Aug 8;369(6):549-57のレビューの中に記載がありますが、あくまでExpert opinionです。これ、確かに感度は上がるのですが、健常人でも喘鳴を聴取する嫌いがあるので、感度は上がるが特異度が下がると思っておいた方が良いです。所見を捕りに行くハンター視線は重要ですが、時に盲目になりますので要注意。人は都合の良いものしか見ません・・・

 ✓ Johnson分類が本当に喘息の重症度を表すかは不明
 

Todd麻痺で感覚障害が来るか? Whether sensory symoptom comes from odd's paralysis? 

 これはレジデントからの疑問。

「Todd麻痺って感覚麻痺も来て良いんですかねえ??」

なんとなく良い気はするんだけど、とりあえず調べてみよ!まあ、まずは普通にUptodate。で、調べると・・・

The classic example of postictal paresis is weakness of a hand, arm, or leg that appears following a focal motor seizure involving the one side of the body. The degree of weakness is usually moderate but can be severe. Other focal postictal symptoms vary according the location of the seizure and may include aphasia, hemianopsia, or numbness.

 おい!あっさり解決かい!すげーな、Uptodate!という訳で、古典的には運動麻痺ですが、結局巣症状は痙攣のFocusによって異なるので、失語・半盲・感覚障害なんでもありですねということです。というよりはTodd麻痺の症状で病巣診断できるじゃん!という発見でした。
 ちなみにちょっと古いですが、あるTodd麻痺症状の臨床症状を見た研究によると、229人の全般性痙攣後に、14人がTodd麻痺を来たし全例運動麻痺はありますが、合併症状として、感覚障害軽度が8例、重度が1例、失語が5例、眼球運動障害が4例だったそうです。まあ、稀ではありますね。症例報告レベルなのかもなあ。(Journal of Neurology, Neurosurgery, and Psychiatry 1992;55:63-64

✓ Todd麻痺では運動麻痺だけでなく感覚障害・半盲・失語なんでもあり!

 

手が勝手に上がる・・・ My hands arbitrarily rise・・・

 これは全体カンファでは共有されていなかったのでこちら。とはいえ、この間ネタとして語ってしまいましたが・・・
 主訴で「手が勝手に上がっていく」という方がいたそうで。所謂不随意運動とは違って、自然にあがっていくとな。そもそもが、"pure sensory stroke"として入院していて、その患側の上肢の話です。さて、診断は??
 まあ、もちろんうちらはそんなにバシッと診断できないわけで笑。専門医の門を叩くわけです。頼もう!と。

 で、結果は”測定障害”でしょうと。この方は脳幹病変のpure sensory strokeだったのですが、おそらく上小脳脚を巻き込んでいて、小脳症状がありますと。で、小脳症状による測定障害で測定過大が起きていて、「目的の静止位置ではない位置に腕が動いてしまう=手が勝手に上がる」という症状になっているのでは?ということでした。

 まあ、意見は色々あるかもしれませんが、鑑別にこういった機序を考えるのは重要ですよね。ある意味での深部感覚異常ですねえ。小脳は測定過小よりは測定過大が多いことも覚えておくと良いかもしれませんね。

  ✓ 測定障害による症状で手が勝手にあがるという症状の方がいる??