栃木県の総合内科医のブログ

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論文:感冒後咳嗽成人に対するモンテルカストの効果

感冒後咳嗽成人に対するモンテルカストの効果

Montelukast for postinfectious cough in adults: a double-blind randomised placebo-controlled trial
The Lancet Respiratory Medicine, Volume2, issue 1, Pages 35 - 43, January 2014

【背景】
感冒後咳嗽はプライマリ・ケア領域では非常にコモンな疾患だが、決まった治療が無い。病態生理的にはロイコトリエンが関与しているとされており、感冒後咳嗽や百日咳に対して、ロイコトリエン拮抗薬の効果が期待される。
【方法】
 二重盲検のRCT。非喫煙者の16-49歳の成人で、2-8週経過の感冒後咳嗽と診断される成人をエントリー。英国の25のプライマリ・ケア施設での検討。全例口腔粘液の百日咳IgGtoxinを測定。
 モンテルカスト10mg群とプラセボ群にランダム化し、2週間内服。効果はLeicester Cough Questionarieで咳嗽に伴うQOLを評価。2週間後再診し、内服を継続するか選択し最終的に4週間後に再診し評価。
 プライマリアウトカムは、2週間後、4週間後のスコアの変化とした。ITT解析はされている。
【結果】
 2011年4月から2012年の9月までエントリー。計276人の患者がエントリーし、モンテルカスト群137人、プラセボ群139人にランダム化された。25%にあたる70人が百日咳毒素陽性で血清学的な百日咳と診断された(この人達も組み入れ)。
 ・QOL scoreは、
 ■2週間後 モンテルカスト群 2.7(2.2-3.3)、プラセボ群 3.6(2.9-4.3)と有意差なし。
 ■4週間後 モンテルカスト群 5.2(4.5-5.9)、プラセボ群 5.9(5.1-6.7)と有意差なし。4週まで追跡し得たのは192例。
 ・副作用は、モンテルカスト群で21例(15%)、プラセボ群で31例(22%) 。最も多かったのは喀痰増加(m群 n=6、p群 n=2)
【結論】
 感冒後咳嗽に対するモンテルカストは効果的な治療では無い。更なる検証が待たれる。
【批判的吟味】
感冒後咳嗽の診断が不明確。8週持続している症例も含まれている。
・本文中の定義は「急性上気道炎をきっかけとして2-8週間続く咳」としており、除外診断は「cystic fibrosisや気管支拡張症、心不全などの慢性疾患、免疫不全、喫煙者、6ヶ月以内の喫煙既往、妊娠、授乳中、咳と関連した薬剤(ACE等)」とされている。
・百日咳毒素陽性群も含まれ、比較的heteroな集団を見ている可能性がある。
・胸部X線は全例はとっていないので、除外診断が不十分かもしれない。
・COIはない。
【個人的見解】
 やはり病態生理ではきれんなと。あと、副作用って本当に自覚症状だなあ。プラセボの方が副作用多いって・・・ちなみにモンテルカストは咳喘息に対する効 果はRCTで有意差は出ています(Ann Allergy Asthma Immunol 2004;93: 232–36.)
 negativeなデータが出たので、感冒後咳嗽にLT拮抗薬は出さなくてすみそうということが分かったのと、感冒後咳嗽の自然歴として、下のグラフみたいに14日経つとほぼscoreはよくなるし、発作的な咳回数も減るので、説明として

「14日間で勝手に治るよ」

と説明できるなと思いました。もちろん除外診断重要ですので、あとは診断の部分ですね。何を感冒後咳嗽と定義するかでしょうか。

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http://www.thelancet.com/journals/lanres/article/PIIS2213-2600%2813%2970245-5/abstract