栃木県の総合内科医のブログ

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論文:利尿剤/β遮断薬/スタチンの糖尿病発症リスクに関する研究:NAVIGATOR study

利尿剤/β遮断薬/スタチンの糖尿病発症リスクに関する研究:NAVIGATOR study

Role of diuretics, β blockers, and statins in increasing the risk of diabetes in patients with impaired glucose tolerance: reanalysis of data from the NAVIGATOR study
BMJ 2013;347:f6745

【目的】

 以前から糖尿病発症と、β遮断薬、スタチン、利尿剤の関連は指摘されていたが、今回耐糖能障害と他の心血管因子を有する患者での新規糖尿病発症率を調査した。
【研究】

 過去のNAVIGATORという「グリニド系血糖降下薬バルサルタンを投与し、新規の糖尿病発症と心血管病変による死亡を比較したRCT」のデータを再評価。
※このstudy自体は2010年にNEJMに出ていますが、これ自体、新規の糖尿病や心血管病変による死亡を減らさず低血糖増やしたというnegative studyでした。http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1001122
【方法】

 ベースラインでβ遮断薬、スタチン、利尿剤それぞれが投与されていない患者を抽出。Ca拮抗薬はコントロール。その後follow up期間に新規に上記薬剤が開始された症例の血糖および負荷試験を評価。marginal structural modelsというモデルで新規発症との関連を評価した。
【結果】
 平均5年間のfollow up期間中に、β遮断薬新規投与群で915人(16.2%)、利尿剤新規投与群で1316人(20.7%)、スタチン新規投与群で1353人(22.0%)、カルシウム拮抗薬新規投与群で1171人(18.6%)に新規の糖尿病発症が見られた。ベースラインを調整し、Hazard ratioを計算すると、利尿剤はHR 1.23(1.06-1.44)、スタチンはHR 1.32(1.14-1.48)と有意にリスク増加。β遮断薬Ca拮抗薬は関連しなかった。
【結論】
 利尿剤とスタチンは耐糖能障害があり心血管危険因子を有する患者では糖尿病発症リスクと関連していた。
【批判的吟味】
・症例数は多いので、過去に利尿剤・β遮断薬・スタチンなどで糖尿病との関連を指摘していた研究の中では最多の様です。
・NNHも計算していて、利尿剤で17、スタチンで12と結構無視できない数値でした。
・基本的には過去のデータの再評価なので、本来は前向きにきちんと組み直さないとけないだろうと思います。筆者らもそれは触れていました。
・治療薬の使用期間などは検証されていないため、doseとの関連は不明。
・調べたけれど利尿剤の内訳は書いてありません。
・COIはノバルティス
【個人的な意見】
・まあ、色々リミットはあるわけですが、過去の研究の中でも最大規模に関連を指摘したというのは大きいですね。
・耐糖能障害がある高血圧の人の降圧薬選択の参考にはなりそうです。
・やっぱり薬じゃないんだよなあ・・・生活習慣への介入をもっとがんばろう!!

http://www.bmj.com/content/347/bmj.f6745