栃木県の総合内科医のブログ

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論文:Acarbose vs メトホルミンの糖尿病初期治療

Acarbose vs メトホルミンの糖尿病初期治療
Acarbose compared with metformin as initial therapy in patients with newly diagnosed type 2 diabetes:an open-label,non-inferiority randomised trial
The Lancet Diabetes & Endocrinology,Volume 2,Issue 1, Pages 46 - 55, January 2014
【背景】
 2型糖尿病で大血管イベントを抑制する効果や安全性、費用対効果が証明されている内服薬はメトホルミンのみというのが現状。一方、アジア人では食後高血糖が多いとされ、α-GIの効果が報告されている。新規発症の糖尿病の初期治療としてのα-GIをメトホルミンと比較した。
【方法】
 研究デザインは2重盲験RCTで非劣性試験。Δ=0.3%で設定。新規に糖尿病と診断された、平均HbA1c 7.5%の糖尿病患者が組み入れられた。中国の研究で中国国内11施設が参加。4週間の生活習慣改善後、改善が見られなかった症例を、24週間のメトホルミン群とアカルボース群にランダムに振り分け。
 Primary outcomeは、24週及び48週時点でのHbA1c値。非劣性試験でベースラインとのHbA1c値の変化を評価。ITT解析あり。
 細かい方法だと、メトホルミンは徐放製剤が使用され2週毎に漸増。アカルボースはもっと細かく1週毎に漸増され副作用軽減を図っていた。24週までは、よほどの高血糖・低血糖が無ければ薬剤は固定。24-48週は追加治療可能というプロトコール
【結果】
 788人の糖尿病患者が組み入れられ、784人に薬剤投与開始。アカルボース群でHbA1c値 -1.17%(24週)、-1.11%(48週)、メトホルミン群でHbA1c値 -1.19%(24週)、-1.12%(48週)で、差は0.01%(95%CI -0.12%〜0.14%)で非劣性と判断。副作用率は両群で2%程度。低血糖イベントも1%と非常に低かった。
【結論】
 食後高血糖が中心のアジア人に対しての新規糖尿病薬では、アカルボースはメトホルミンと同様にHbA1c値を下げた。
【批判的吟味】
・基本的にはstudy design、規模ともに素晴らしいです。ただまあアウトカムはサロゲートです。
・糖尿病研究はこればっかですよね。血糖・HbA1c下げました!だから???とな。でも、実は今大規模な心血管イベントをアウトカムにしたstudyが進行中らしいです。
・fundingでBayer HealthcareとDouble Crane Phamaがついています。アカルボースはバイエルの薬剤ですね。COIありと。
・血糖の推移も、空腹時血糖はメトホルミン群で下がり、食後血糖はアカルボース群で下がるという、薬効通りの結果だったみたい。
・サブ解析ですが、メトホルミン群の効果は肥満・非肥満に関係なく効果があったとのことで、痩せ型の人にも効きますよ〜と。
・食後高血糖については、アジア人は食事中の糖の比率が高いらしく、これと食後高血糖が心血管イベントと関連したことから今回の検証に至った様です。日本や中国などとまとめられてました。これ、日本からもデータ出したいですねえ。
・欠点はとにかく費用が高いこと、服薬コンプライアンスが守られにくいことでしょうか。今回アドヒアランスはそれほど悪くなかったみたいです。
【個人的見解】
・えーっと。グルコバイ馬鹿にしてました、すいません。まあ、メトホルミン第一選択は変わりませんが。
・せっかく日本でよく使われてる薬だし、今後の研究結果に期待したいです。新規のSGLT阻害薬もそうですが、「糖を吸収させない」というのは、やはり一つの方法なんだろなあ。
http://www.thelancet.com/journals/landia/article/PIIS2213-8587%2813%2970021-4/abstract