栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

論文:集中力の無い運転の交通事故リスク

Distracted Driving and Risk of Road Crashes among Novice and Experienced Drivers

集中力の無い運転の交通事故リスク(新人とベテラン)

N Engl J Med 2014; 370:54-59

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【背景】ベテラン運転手でも初心者運転手でも、自動車事故の主な原因は、運転中に別な事をするということであることが明らかになっている。
【方法】2つのコホート研究を用いて、運転中に別な事をしていること(携帯電話使用を含む)と交通事故との関連を検証した。客観的指標として、自動車には加速度計・カメラ・GPSなどのセンサーを多数とりつけ、10代の新規に免許取得した初心者運転手42人と、ベテラン運転手109人を検証した。
【結果】研究期間内に、初心者運転手で167件、ベテラン運転手では518件の交通事故が起こった。
 初心者運転手の交通事故は

①携帯電話をダイアルした時 Odds ratio 8.32(2.83-24.42)
②携帯電話に手を伸ばした時 Odds ratio 7.05(2.64-18.83)
③メールを送受信 Odds ratio 3.87 (1.62-9.25)
④携帯電話以外のものに手を伸ばした時 Odds ratio 8.00(3.67-17.50)
⑤道路沿いのものに目を取られた時 Odds ratio 3.90(1.72-8.81)
⑥食べ物を食べた時 Odds ratio 2.99(1.30-6.91)

と軒並み上昇していた。

 ベテラン運転手の交通事故は、

①携帯電話をダイアルした時 Odds ratio 2.49(1.38-4.54)

と上昇していたが、他の項目については有意差はつかなかった。
【結論】
 初心者運転手では、運転中に別なことを行うことで交通事故を起こすリスクが増加した。
【批判的吟味】
■まずは後ろ向きのコホートであることの限界はあります。ただ現実的にこの手の問題のRCTは組みにくそう。
■かなりあれこれセンサーがついているので、介入バイアスはかかっていそうです。特にベテランで。あと、これらのセンサーをつけて運転した事に対するお金の報酬が出ています。合計1800$(18万円!)。
■運転手の内訳(仕事なのかプライベート使用なのか)が不明なのと、疲れ具合とか前日の睡眠とかの記載はありませんでした。
【個人的見解】
 こんなに初心者とベテランの差が出るんだなあと。あとは、これをサポートしているのが、National Highway Traffic Safety Administrationっていう交通安全協会みたいなところなんですね。国を挙げて運転中のどんなことが事故に繋がるかを検証するって素晴らしいな と。
 とりあえず、初心者もベテランも電話をかけたら危ないってことですね。

http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMsa1204142