栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

論文:COPD末期患者へのベンゾジアゼピン系薬剤・オピオイドの安全性

Safety of benzodiazepines and opioids in very severe respiratory disease:national prospective study

COPD末期患者へのベンゾジアゼピン系薬剤・オピオイドの安全性

BMJ 2014;348:g445 doi: 10.1136/bmj.g445 (Published 30 January 2014)

 COPD終末期になってくると呼吸苦緩和目的にオピオイド・ベンゾジアゼピン系薬剤(BZ系)が使用される機会が出てきます。その安全性についての研究でした。過去にカンファでも話題になったので取り上げてみます。
【目的】重症のCOPD患者におけるオピオイドとBZ系の安全性を評価する。
【研究デザイン】population basedの縦断コホート研究
【施設】スウェーデンの在宅酸素を提供している医療施設
【患者】
 
2005-2009年までSwedevox Registerというスウェーデンレジストリーに登録されたCOPD在宅酸素療法が導入されている2249人の患者。
【メインアウトカム】
 
オピオイドとBZ系薬剤が投与されている患者の入院と死亡を評価。年齢・性別・血液ガス・BMI・PS・過去の入院歴・合併症・併用薬は調整した。
【結果】
 
1681人(76%)の患者が入院し、1129人(50%)の患者が死亡した。follow upできなかった症例はなし。BZ系とオピオイドは入院率 HR 0.98(0.87-1.10)と死亡率 HR 0.98(0.86-1.10)に関係しなかった。BZ系薬剤は高容量だと死亡率相関 HR 1.21(1.05-1.39)、低容量オピオイドモルヒネ換算で30mg/日以下)は死亡を増やさず HR 1.03(0.84-1.26)、高容量は死亡率を増やしました HR 1.21(1.02-1.44)。低容量のBZ・オピオイド併用は、入院・死亡ともに増やしませんでした。
【結論】
 低容量のオピオイドは重症COPD患者では、入院・死亡共に増えずに安全に使用可能である。
【批判的吟味】
■この手のコホートでは常に問題ですが、処方はされているけど実際に内服しているかは不明という限界がありそうです。
■とにかく症例数が多いのは強みだと思います。
■国籍は違うので、日本とは人種・薬剤代謝率・処方の閾値など多くの点がことなるとは思います。
■2249人のうち、オピオイド(509人)・BZ系(535人)症例の方が重症度が高かったです。ただ、これはリスクのoverestimateになる ことはあるけど、underestimateにはならないので、これで安全性OKなら大丈夫かもしれないとも思います。
【個人的な意見】
 オピオイド処方多いなあという印象。BZ系と同数じゃん!でもそもそも呼吸苦に対するオピオイドの研究ってほとんどが非癌終末期の患者さんのstudyだから、日本が使わなすぎなのかもしれません。モルヒネ30mg以下だと何とかなりそうなかな。

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