栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

論文抄読会:JAMA & NEJM 20140223

■JAMA■
【膵炎患者の脂肪織炎 Abdominal pain and subcutaneous nodules】
 急性膵炎の患者で、左足の脂肪織に発赤・熱感・腫脹があり。是は何でしょうと?結果は脂肪織炎でした。膵炎患者の2%程度に合併する様で、45%では皮膚症状が先行、60%では腹部症状が見られないとのことでした。これは、まあ見逃しているかもなあ。基本的には膵炎の治療をすると一緒に改善する様です。

【腎臓ドナーの長期予後 Risk of end-stage renal disease following live kidney donation】
 腎移植の時のドナーが末期腎不全(ESRD)に関連するかどうかという検討事項について検証。以前からリスクは指摘されていたものの、small sizeであることや、high risk患者のみに限定されたりしていたため、十分な検証がされていなかった。今回は、全米のドナー96217人をドナー群、NHANESⅢコホートからno risk症例を抽出して、ESRDの発症率を比較しました。follow up期間は平均7.6年。アウトカムはESRDの発症率で見ています。
 ドナー群で30.8/10000(24.3-38.5)、コホート群で3.9/10000(0.8-8.9)と有意にドナー群でESRD発症リスクが高いという結果でした。筆者らは絶対リスクはそれほど大きくないと結論しています。


■NEJM■
【感染性心内膜炎の症例:Case 5-2014】
 急性のせん妄と血小板減少、腎不全、皮疹の症例で何を考えますかと。鑑別で勉強になったのが、本症例で腹部のlivedoと手指のpurpuric rashが出ていて、livedoは中血管、手指は小血管なので、両方同時に障害を受ける疾患の鑑別を!という視点で鑑別診断が進んでいきました。clinical pearlとして、
①ANCA関連血管炎では手病変はほとんど来ない
②感染性心内膜炎の25%には基礎心疾患はない
などがありました。この症例で凄かったのがHervardの医学生が鑑別診断としてあげていたのが、ロッキー山紅斑熱、細菌性心内膜炎、SLEでこの鑑別リストは、専門医とほぼ同じだったとのことです。世の中にはとことん優秀な人がいるんですねえ。

むずむず脚症候群に対するプレガバリン Comparison of Pregabalin with Pramipexole for restless legs syndrome】
 むずむず脚症候群に対するドーパミン製剤の問題点は、1/3程度にaugmentationが起こって増悪することがある為に使い勝手が悪いことにあるのだそうで。まだ、それほど使用経験がないのでまずはへーと。
 そんな中、RLSに対するプレガバリン(リリカ)とPramipexole(ビ・シフロール)を比較したRCTがNEJMに掲載されていました。RLS症例719例が選ばれ、182例がプレガバリン、178例が0.25mgビ・シフロール、180例が0.5mgビ・シフロール、179例がプラセボの4つのarmでした。primary outcomeは、IRLSというRLSの病態を表すスコアとaugmentation(再増悪)の頻度を比較しました。
 結果、12週後でプレガバリンはプラセボと比較して有意に症状を改善。ビ・シフロールと比較してもほぼ同等でした。再増悪は40-52週で見ていますが、こちらは有意にビ・シフロール0.5mg群と比較して少なく(2.1% s 7.7%)、0.25mg群とは有意差はつかないものの少ない傾向(2.1% vs 5.3%)でした。ただ、副作用はリリカ群でふらつき・めまい・眠気等が多い結果でした。研究資金はファイザーから出ておりCOIあり。
 興味深かったのは、プラセボでもそれなりに治るということ。RLSはドーパミンが効く疾患なので、「薬を飲む」という行為自体が、脳の報酬系のドーパミン作動神経を刺激して効果を来すのかもしれないと言われています。ただ、一方でドーパミンを介さないリリカが効果が出たことで、疾患の原因が単なるドーパミン神経説だけではない可能性が出てきたと筆者らは締めくくっていました。