栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

カンファ:石灰沈着性腱炎/腎細胞癌/肝性胸水

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【石灰沈着性腱炎】
 いわゆる結晶誘発性関節炎(CPPD)には、痛風・偽痛風などが有名ですが、時折あるのがこのリン酸・シュウ酸カルシウムの沈着です。頚長筋などでは、頚部痛の原因として石灰化頚長筋腱炎が有名ですよね。
 全身性に石灰が沈着することが多く、偽痛風などと違って関節内では無く腱に沈着しているのがポイントです。”雪玉状”に沈着する様ですね。肩・膝が多く 破壊性の強い関節炎とのことですがPolyarthritisを来す事もあり、鑑別が重要です。多くはリン酸タイプ(BCP)で、シュウ酸は透析患者さんなどに多い様です。
 まあ、特異的な治療があるわけではなく、関節液採取と罹患関節のXp評価が重要ですね。あ、でもH2拮抗薬が石灰の消失と関連するかもと言う研究は在るようです。
http://merckmanual.jp/mmpej/sec04/ch035/ch035d.html

【腎臓癌よもやま話】
 腎臓癌って実臨床では、他の癌と比べると診断に関わる機会が少ないかもしれません。
 今回は腎臓癌の下大静脈内伸展の話。癌取り扱い規約でもStageT3b: 腫瘍は肉眼的に腎静脈または横隔膜下までの下大静脈内に進展すると定義されており、稀な状態では無い様子。こうなると下腿浮腫、腹水、Budd- Chiari様の肝硬変を呈したりするようです。
 腎癌は化学療法・放射線療法は効きにくいので、外科的手術を行う場合が多く、血管合併切除、人工血管置換などの術式があると。
 また、Paraneoplastic symptomとして、多彩な症状報告がされています。貧血、肝障害、発熱、高カルシウム血症、Erythrocytosis、 Leukocytosis、AA amyloidosis、PMR等多彩です。特にLeukocytosisはG-CSF産生腫瘍として知られています。
 診断基準は、①末梢血の成熟好中球を主体とした白血球増多、②血清G-CSF活性の上昇、③腫瘍組織中のG-CSF活性の証明、④腫瘍の摘出・治療による改善の4項目が言われています。

【肝性胸水について】
 肝性胸水は1955年に初めて報告。腹水が腹腔内圧の上昇によって生じた横隔膜脆弱部を通じて陰圧である胸腔内へ移行するのが機序。右側が85%、左側 が13%、両側が2%と報告されている(Semin Liver Dis 17:227-232,1997)。非代償性肝硬変患者に多いので、難治になる事と、腹腔内よりスペースが少ないので呼吸苦・咳などの症状が出やすいこと がポイントです。
 治療は、原則塩分制限・利尿剤、その後胸水ドレナージ、胸膜癒着・・・と進んでいきます。それでも難治性の場合には、胸腔-腹腔シャントやTIPSなどが報告されています。