栃木県の総合内科医のブログ

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論文:終末期腎不全に対するACE/ARBの効果

終末期腎不全に対するACE/ARBの効果
Renoprotective Effect of Renin-Angiotensin-Aldosterone System Blockade in Patients With Predialysis Advanced Chronic Kidney Disease, Hypertension, and Anemia
JAMA Internal Medicine March 2014 Volume 174, Number 3

【背景】終末期腎不全患者に対するACEI・ARBなどのRAA系薬の使用のメリットは明確にはなっていない。
【目的】透析直前の高血圧と貧血を合併した終末期腎不全患者のACEI/ARBの効果を検証する。
【デザイン】前向きコホート研究、台湾
【対象患者】2000年1月1日〜2009年6月30日までに高血圧合併のCKD患者28497名を選択。その中で、血清クレアチニン>6.0mg/dLかつHt<28%でESA製剤使用中患者をinclusion。
【介入】ACEI/ARB使用者 14117人と非使用者 14380人の比較。ICD-9の保険病名や血液検査データを利用。
【メインアウトカム】維持透析の開始数と全死亡を比較。但し全死亡は透析導入とのcomposit outcome
【結果】

 平均follow up期間は7ヶ月で、20152人(70.7%)が維持透析へと移行し、5696人(20.0%)が透析導入前に死亡した。ACEI/ARB群で有意に透析導入を減少 HR 0.94(0.91-0.97)全死亡と透析導入のcomposit outcomeでもHR 0.94(0.92-0.97)と有意に減少した。サブグループ解析では、ACEI群とARB群で同等の効果で、ACEI+ARB併用群では有意差はでず効果は得られなかった。
 一方で、ACEI/ARB群で有意高K血症関連入院が多く HR 1.31(1.21-1.43)、K関連の死亡は有意差は出なかった HR 1.03(0.92-1.16)。
【結論】

 高血圧合併の終末期CKD患者でもACEI/ARBの効果は維持透析までの頻度を減じた。
【批判的吟味】
・評価できるのは、症例数が多いこと。住民ベースのコホートなので台湾全体を反映できている可能性がある事です。
・残念ながら前向きコホート研究なので、本来はRCT組みたいところですが、このCr値になるまでACEI/ARB使用しないで待ってから組み入れとか無理なので、現実的には難しいかなとも思います。
・全死亡の部分で何故composit outcomeにしたのか不明でした。死亡だけにしたら良かったのに。
・著者らはカルテからのCr値なのでacute on chronicを拾ってしまう可能性やCr値は男女で差があるので女性では過小評価に繋がるかもしれないと危惧していました。
・HRの差はわずかに6%程度ですが、NNTに直す16.7くらいで悪くないですね。
・当たり前ですがK値は高値になりますよね。高K入院のHR 1.31なので死にはしないものの入院しなくてはいけないデメリットはありますね。
【個人的見解】
・限界はありますが個人的にはおーすごいという感じでした。もともとACEI/ARBの腎保護効果ってCr値高い人の研究で多いのに、Cr 3くらいになるとそろそろ止める?みたいな議論になるのはどうなのかなあ?と思っていました。
・こんなに末期のCKD患者で有用なのは確かに凄いデータです。あとは台湾の末期腎不全多過ぎ!と思いました。台湾の人口は2300万人なんだそうですが、今回当初のinclusionは10万6228人です。どんだけの人が透析待ちなんだと。しかも年齢も20-100歳までinclusion!100歳って・・・
・ちなみに日本は台湾についで維持透析症例が多い国でもあり、似たような状況なんだと思いますね。まあ、もっとACEI/ARB引っ張って良いんだなということと、ACEIとARBの差は無いんだなということでしょうか。

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