栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

論文:重症脳梗塞に対する頭蓋内圧減圧術の効果

広範囲MCA脳梗塞に対する緊急頭蓋内減圧術の効果 DESTINY Ⅱ研究
Hemicraniectomy in older patients with extensive middle-cerebral-artery stroke
N Engl J  Med 2014; 370:1091-1100 March 20,2014 DOI: 10.1056/NEJMoa1311367
【背景】
 60歳以下のMCA領域の広範な占拠性重症脳梗塞患者では、早期の減圧術はリスクを増やさずに死亡率を減らすことが知られている。ただ、高齢者ではその効果がどうか証明されていない。
【方法】
 61歳以上の高齢者112人(平均 70歳:61-82歳)で重症MCA梗塞を通常治療群と症状発現48時間以内の外減圧術群に振り分けた。プライマリエンドポイントは、6ヶ月後のmRS 0-4点の生存率としている。これは、重度障害の残らなかった生存率という意味。
【結果】
 早期の減圧術は、プライマリエンドポイントの改善に繋がった。減圧群で重度障害無しの生存率 38%、通常治療群 18%で、OR 2.91(95%CI 1.06-7.49;p=0.04)だった。死亡率のみでも減圧群33%、通常治療群70%と半減させた。mRS 0-2の障害がほぼ無いか軽症の群は存在せず、、mRS 3が減圧群7%、治療群3%、mRS 4は減圧32% vs 通常15%。減圧群では感染が有意に多かったが、脳ヘルニアは通常治療群で多かった。

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【結論】
 頭蓋内減圧術は、高齢者の重症MCA領域脳梗塞患者に対して、重度障害を残さずに救命できる方法の一つである。
【批判的吟味】
・inclusionとして、優位半球はNIHSS 20点以上、劣位半球はNIHSS15点以上とされていました。結構重症脳梗塞です。画像ではMCA 領域2/3以上で発症48時間以内、もともと無症状の人でした。
・除外基準は、もともとmRSが1点以上、対光反射消失、GCS 6以下、脳出血、外科手手術の禁忌など。
・この辺りを意識しながら、実臨床でどの患者さんを早期の段階で減圧術に持って行くかが課題と思います。いわゆる患者への適応という部分ですね。ただ、脳外科の先生から見るとハードル上げ過ぎ!なのかもしれないです。
・「脳ヘルニアが出現してから減圧術」というのは遅いというアンチテーゼでしょうか。
・ちなみにmRS 0-2点はいない様な脳梗塞でしたね。重度の障害は無いけど、最終的に7割はしゃべれない・・・
・通常治療群では脳ヘルニアでの死亡が34/47例 72%です。
【個人的見解】
・難しいところですが、少し意識はしてみます。
・こうゆうのは病院内で当該科と事前に話し合っておくことが重要かもしれません。
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1311367