栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

論文抄読会:JAMA 論文内容の不一致率/在宅医療の効果/介護者負担

■JAMA■
【Clinical Trials.govへの報告と実際の論文内容の一致率 Letters Reporting of results in ClinicalTrials.gov and High-impact Journals】*1
 最近は論文内容の不備やコピペなど、故意かどうかに関わらず日本国内の論文について多くの報道がありますよね。自分も時折商用誌や症例報告レベルは書いたりしますが、誤字脱字などの体裁、内容的な不一致などが後々に見つかる事も少なからずある様に思います。少なくとも推敲に推敲を重ね、透明性も増していく必要がありますね。
 今回はFDAが2007年以降義務づけていた、study終了12ヶ月後のClinicalTrials.govへの報告義務を元に、「ClinicalTrials.govへの報告」と実際の論文中の「Publication result」と一致しているかを検証しています。2010-2011年に発表されたImpact factor10以上のメジャージャーナルの96 trialsのうち93trialsで一つ以上のデータ報告不一致が指摘されているとのこと!ほぼ90%か・・ちなみにprimary outcomeの一致率も60%程度。Clinical Trials.govがものすごく舐められているのかもしれませんが、さすがにFDAからの義務ですしこれはまずいねと。国内外関わらずですが、Publishされたデータが間違っているとなると、何を信じたら良いのかとと思っちゃいます。まあ、検証が入っているだけマシかもしれませんが。

【終末期患者への在宅診療の効果 Benefits and costs of home palliative care compared with usual care for patients with advanced illness and their family caregivers】*2
 非癌を含む終末期患者に対する在宅診療の効果について検証されています。終末期患者さんのおよそ半分以上の患者は自宅でケアを受け死ぬことを希望していますが、多くの国では実際に自宅で亡くなることができるのは1/3未満とのことです。今回はCochrane reviewなどで在宅診療の効果と費用対効果が検証されています。
 7つのtrialsのメタ解析では、在宅診療は通常ケアと比較して自宅で死ぬことができる率はOR 2.21(1.31-3.71)と約2倍になることが判明しました。NNTは5(95%CI 3-14)で、患者の症状を軽減するが介護者の悲しみに対する効果は得られなかったとしています。QOLや費用対効果を改善したという結論は出ていない様で。
 ただ、今回検証されたstudyは多くは10年以上前の古い研究であり、現在6つのRCTが進行しており今後の結果待ちとのことです。訪問診療の内容にもよりますが、5人に1人は在宅で亡くなることが可能といえそうです。

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【介護者負担 Caregiver burden. A clinical review】*3
 介護者負担は最近少しずつ取り上げられるようになってきています。慢性疾患を持つ患者家族の介護負担をしている方は全米で4350万人にも及び、日常診療でもよく見られる問題です。
 臨床医にとって重要なのは介護者の負担を早期に発見し、程度を評価、介入することと書いてあります。うーん、まあお節介っちゃお節介ですね。もちろんICD-10に”介護者負担”なんてないですしね。Zaritらが

「介護が感情的・社会的・身体的・経済的・霊的に悪い影響を与えていると感じている状態」

 と定義しています。アメリカでは6570万人が介護を経験していて、そのうち66%が50歳以上を介護しています。主介護者は女性に多く86%程度平均20.5時間/で、20%は40時間以上を費やします。更には、配偶者だと24時間体制になる事も多く、負担が更に重くなるとされています。介護負担が多くなるリスクとして、女性、同居、低教養、死亡率、体重減少、セルフケアが出来ない、睡眠を障害される、うつ病、選択肢が無いこと、経済的負担が挙げられています。この辺は常識で考えると分かりますよね。介護者を”invisible patient”として必要なときに適切な介入を行う事、適切な場所につなげることの重要性が言われていました。
 アプローチ方法として、①主介護者を見つける、②患者・介護者の好みに合わせたケアプラン調整、③介護者の役割と必要な能力の確認、④介護者・患者の定期的な評価となっていました。心理教育や患者に対する投薬が負担軽減の役割としては同等でした。この辺に来ると結構微妙で、その理由で患者に投薬するか!?というのは在宅医療で時折遭遇する課題の一つです。