栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

論文抄読会:NEJM 慢性髄膜炎/MRSA皮下膿瘍/BPPV

■NEJM■
結核性髄膜炎としての診断的治療開始後にglioblastomaだった一例】*1
 NEJMの症例です。主訴は頭痛、嘔吐、視覚障害、複視、傾眠、光過敏等の症状で来院。意識障害・失語が発症し、痙攣疑いですぐにロラゼパム静注。髄液で単核球有意の細胞数増多があり、他治療(抗菌薬・抗ウイルス薬)と一緒に抗結核薬4剤開始。この辺は早いですよね。うちらはもう少し結果を待ってからのactionになってしまいます。抗酸菌培養・ツ反・QFTは全て陰性。頭部MRIで造影部分があり脳生検施行。この後少し症状が良くなった為退院した。 退院後、突然しゃべれなくなってMRI撮ったところ腫瘍が出現しglioblastomaでした〜と。
 今回は慢性髄膜炎の鑑別疾患でした。急性との違いは症状が弱くvariationがあること、感染症では結核が最多HIVやクリプトコッカス、寄生虫などは考慮。non-infectiousなものとしては、血管炎、Cogan'症候群、SLE、肉芽腫性血管炎、悪性腫瘍など。結構鑑別が難しく、最終 的にglioblastomaと診断された症例の多くはTBとして治療歴がある様でした。慢性髄膜炎の診断がつかない場合には、結核のtreatment delayは予後に関連する為、早めに治療しましょうと。ちょっとタイムリーでした。

MRSA時代の皮下膿瘍 Management of skin abscesses in the Era of Methicillin-resistant Staphylococcus aureus】*2
 市中MRSA(CA-MRSA)が増加していて、MSSAよりも重症感染症を起こすことが知られています。その中で皮下膿瘍が多いのも特徴の様でした。
 今回はその皮下膿瘍のreview。皮下膿瘍の診断は基本的には臨床診断に基づいて行われます。この臨床診断も残念ながら診断精度が低く、エコーが有用とされていました。治療は主に切開排膿になります。約80%はこのドレナージのみで改善し、抗菌薬は不要。全身症状がある時のみ使用するように勧められています。切開は1cmで十分と。洗浄やpackingは基本的には不要で、具体的なドレナージ方法のきれいな図が載っていました。裏技的には、MRSAの 皮膚感染症を繰り返す症例では、同居家族内のMRSA除菌が効果があるというRCTもある様です。

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【BPPVのreview Benign Paroxysmal Positional Vertigo】*3
 BPPVはvertigoの最も多い原因とされている。一生涯で全人口の2−4%に経験するとされています。発症peakは50-60歳で女性に多いのも特徴です。また、年内再発率が15%と比較的高いとされてます。また、症状が朝出やすいのも特徴です。尿管結石と似ていて、朝起きたら目が回って救急車を呼ぶというパターンが多く、朝方もう少しで耳鼻科が始まるのに〜という時間に救急車から連絡が来ます(笑)。
 診断は病歴と身体所見が最も正確。画像は脳幹部や小脳等の脳梗塞が否定できない時のみ役に立つかもと。Dix-Hallpike法は前方型のBPPVの gold standardとされています。多くは治療せずとも治りますが、後方型は17日、水平型は7日程度とされていて、結構自然歴は長いですね。もっと短めに話してしまっていました。後方型にはEpley法が推奨される。1回目の成功率は80%、4回以上で92%とされています。BPPVのtypeの特定とど のtypeにどの手技が良いのかが実はあまりよく分かっていない様ですね。日本でもガイドラインが出ていて、BPPVの詳しい解説がされていまし た。古巣の先生方の監修でしたねえ。
https://www.jsnt.gr.jp/guideline/img/memai.pdf