栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

論文:糖尿病患者のACE阻害薬とARBの効果比較

糖尿病患者のACE阻害薬とARBの効果比較
Effect of angiotensin-converting enzyme inhibitors and angiotensin Ⅱ receptor blockers on all-cause mortality,cardiovascular deaths,and cardiovascular events in patients with diabetes mellitus:A meta-analysis
http://archinte.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1847572

【背景】糖尿病患者に対するACEiとARBsは、心血管イベントに対する効果が異なる可能性がある。
【目的】糖尿病患者におけるACEiとARBsの効果を別々に検証するメタ解析を行った。効果は①全ての死亡、②心血管死、③主要な心血管イベント発症で評価した。
【データ】

 MEDLINE(1966-2012)、EMBASE(1988-2012)、Cochraneからデータ収集した。糖尿病患者のACEiと ARBsの効果を検証しているRCTをinclusionした。少なくとも12ヶ月以上の観察期間があるものを採用し、crossover studyは除外している。
【メインアウトカムと測定方法】

 Primary outcome:全死亡と心血管死

 Secondary outcom:主要な心血管イベント
【結果】
 35の研究がinclusionされ、23がACEi(32827人)、13がARBs(23867人)の研究だった。コントロール群はプラセボか他薬剤が使用されていた。
 ACEiのプライマリアウトカムでは、

全死亡 13%減少(RR 0.87:95%CI 0.78-0.98)

心血管死 17%減少(RR 0.83:95%CI 0.70-0.99)

  セカンダリーでは

主要な血管イベント 14%減少(RR 0.86:95%CI 0.77-0.95)

心筋梗塞 21%(RR 0.79:0.65-0.95)

心不全 19%(RR 0.81:0.71-0.93)

  ARBsのプライマリアウトカムでは、

全死亡 有意差なし(RR 0.94:95%CI 0.82-1.08)

心血管死 有意差なし(RR 1.21:95%CI 0.81-1.80)

  セカンダリーでは

主要な血管イベント 有意差つかず(RR 0.94:95%CI 0.85-1.01)

唯一心不全 30%減少(RR 0.70:0.59-0.82)。

  ACEi・ARBsともに脳梗塞に対する予防効果は得られなかった。Meta-regressionによるベースラインの血圧や蛋白尿、ACEiの種類や糖尿病のタイプによる違いは認めなかった。
【結論】ACEiは糖尿病患者の全死亡を減らし、心血管死を減らし、主要な心血管イベントを減らすことが示された。一方でARBsにはこれらのアウトカムに対する効果は認められなかった。ACEiは糖尿病患者での第一選択として使用されるべきである。
【批判的吟味】
・RCTを原則組み入れていますが、今回それぞれのJadad scoreは概ね3点以上と比較的質の高いRCTがinclusionされています。
・直接比較(ACEi vs ARBs)ではないので、間接的な比較になっています。
・メタ解析の限界でもありますが、それぞれのstudy対象が幅広いので、ACEiやARBsの種類や投与量、目標血圧や目標HbA1c値、時代背景も異なります。
・また、そもそも研究数が異なり、症例数も違うので直接比較して良いかは難しいかもしれません。
【個人的見解】
 色々限界もありますが、やはり同じ薬と扱うのは間違っているんだろうと思います。第一選択ARBsとはいかないかなあと。値段は実は意外と変わらないんですよね。まあ、感情的にもあれだけ不適切なプロモーションとか臨床研究の問題とか出ているARBsと最近は高齢者の肺炎予防効果まで出てきたACEi だったら、どちらを最初に使うかは自明かなと思っています。

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