栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

論文抄読会:BMJ & Lancet 飲食店数と肥満/大腸癌検診後の減量指導/子宮内膜症/炎症反応陰性の巨細胞性血管炎

BMJ
【自宅や職場周辺の飲食店数と肥満の関係 Associations between exposure to takeaway food outlets,takeaway food consumption,and body weight in Cambridgeshire,UK:population based,cross sectional study】*1
 ちょっと複雑なデザインのcross sectional studyで、29-62歳の成人の自宅周辺、職場周辺、通勤路周辺に分けて飲食店数・消費量とBMIの関連を検討した研究です。なんかちょっとBMJクリスマスの匂いを感じる企画ですが、authorらは大まじめな模様。結果として、家でも職場でも店の数が多いと、持ち帰りの消費量が増え、BMI増加するという当たり前の結果でした。当たり前の事を当たり前だと検証するのは大事ですね。寄り道の楽しみは万国共通ということでしょうか。

【大腸癌検診陽性患者への減量指導 The impact of a bodyweight and physical activity intervention(BeWEL)initiated through a national colorectal cancer screening programme:randomised controlled trial】*2
 このstudyは視点が面白くて。通常肺癌を発症すればタバコを止める人は多いですよね。で、大腸癌の患者さんは過体重や運動不足が原因になる事が分かってきている訳ですが、癌発症後そのような生活習慣改善は行われてないのが現状です。今回は、便潜血性でポリペクして腺腫(adenoma-carcinoma sequenceで言えば前癌病変ですね)が見つかった方を通常ケア群と、運動食事介入群にランダム化して、12ヶ月後の体重変化を見ています。結果は、通常ケア群は-0.78kg、介入群は-2.69kg減でした。
 体重は減ると。これが癌発症予防になるかが検証されると、大腸癌もしくはポリペク後の患者さんへのアプローチは変わるかもしれませんよね。inactivityが発癌リスクがあることなどはもっと知られていても良い気もします。

子宮内膜症のreview Endometriosis】*3
 子宮内膜症は定義上は、エストロゲン依存内膜の子宮外での炎症・繊維化」とされています。症状が多彩で、診断のgold stanardが腹腔鏡での確認なので敷居が高く、疫学情報が十分得られていない分野の様です。一応全人口からみると約1.5%程度とのことです。また、自然歴も実はよく分かっておらず、過去の研究結果では半年経過すると1/3は治ってしまう一方で1/2は進行するとの報告があります。
 タイプは3つあり、表面のもの、深部のもの、嚢胞形成するものに分かれる様です。通常は骨盤痛の患者で疑うことが重要です。不妊との関連では、不妊女性の20-50%が内膜症内膜症の30-50%が不妊になるというかなり密接な関連があります。gold standardは腹腔鏡ですが、画像で最も用いられるのは経膣超音波になります。また、エコー>MRIの有用性という記載でした。 
 治療はmedicalにはホルモン療法で、Systematic reviewでも有用性が認められていますが、最終的に重症例や持続的に症状がある症例では腹腔鏡による手術がより有効であるとされていました。

■Lancet■
【炎症反応陰性の巨細胞性血管炎 Giant cell arthritis】*4
 臨床症状は、間歇的な左眼の視力低下と左頭痛、jaw claudicationはなし。眼科で動脈炎性虚血性視神経症と診断されています。炎症反応はCRP 0.7、ESR 14/hrと上昇しておらず。最終的に生検で、Giant cell arthritisの診断となりました。炎症反応陰性でも否定できないなと。
 治療は臨床判断で行うべきであり、炎症反応は過去の報告では4%程度で正常であるとも言われています。最期には、「If giant cell arteritis is suspected on clinical grounds, a temporal artery biopsy should be done irrespective of the erythrocyte sedimentation rate and C-reactive protein values.」
と、結ばれています。