栃木県の総合内科医のブログ

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論文:内視鏡医の大腸腺腫検出率と大腸癌死亡の関連について

内視鏡医の大腸腺腫検出率と大腸癌死亡の関連について
Adenoma detection rate and risk of colorectal cancer and death
n engl j med 370;14 nejm.org april 3, 2014
【背景】
 大腸内視鏡検査でのQuality indicatorとして大腸腺腫の発見率が推奨されている。しかし、大腸腺腫発見率と大腸癌や死亡との関連はよく分かっていない。女性では15%以上、男性では25%以上がQ.I.とされている。
【方法】
 各医療機関からのデータを統合して、大腸腺腫発見率と、検査後6ヶ月以降10年までの大腸癌および大腸癌関連死を評価した。内視鏡適応や既往症、人口統計学的項目については調整した。
【結果】
 136人の内視鏡医による31万4872件の内視鏡検査を評価した。大腸腺腫発見率の幅は7.4-52.5%だった。follow up期間中に、712件の大腸癌とそのうち255件の進行大腸癌、147人の大腸癌による死亡例が同定された。内視鏡医を5分割し、最も大腸腺腫発見率が高い群と最も低い群を比較すると、

大腸癌リスクは0.52(95%CI 0.39-0.69)
進行大腸癌リスクは0.43(0.29-0.64)
大腸癌による死亡は0.38(95%CI 0.22-0.65)

発見率が高い群が良い結果だった。大腸腺腫発見率が1%ずつ増加する毎に、3%ずつ大腸癌発症が抑制される(HR 0.97: 95%CI 0.96-0.98)という計算になる。
【結論】
 大腸腺腫発見率は、大腸癌・進行大腸癌・大腸癌関連死亡リスクと逆相関することが判明した。
【批判的吟味】
・inclusionされた内視鏡医は、CF件数300件以上、スクリーニングは75件以上の経験がある医師。
大腸内視鏡の種類も、スクリーニングとサーベイランスと診断的に分けた。
・大腸腺腫発見率が、内視鏡医の手技によるのか前処置などの問題なのかは不明。
・EMRなどの治療に伴う合併症はカウントされていない。
【個人的意見】
・これはすごいデータですねえ。本文中にもあるのですが、腺腫同定率が高ければ高い程、死亡が減ってくることが分かります。
・同定率33.51-52.51%の凄腕内視鏡医集団は、7.35-19.05%のひよっこ内視鏡医と比較して大腸癌同定率を半減しています!19%でもひよっこかあ。それ以降も正の相関あり。同じ「CFをやった」という事実よりも「誰がやったか」という事実の方が重視される時代かもしれません。
・★いくつの内視鏡医に見てもらいたい、みたいな時代になる??
・これは確かにQ.I.になるかもしれませんね。逆に言えば、それだけ腺腫の見逃しがあり、その見逃しがadenoma-carcinoma sequenceを通して癌化することの現れですね。
・精進あるのみです!

http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1309086

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