栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

論文抄読会:JAMA & NEJM 輸血後感染症/Ezetimibe/重症敗血症の死亡率/悪性黒色腫の水疱性皮膚転移/出生直後の血栓症リスク

■JAMA■
【輸血後の感染症リスク Health care-associated infection after red blood cell transfusion. A systematic review and meta-analysis】*1
 輸血後には、肝炎やHIVウイルス感染のリスクだけではなく、肺炎や菌血症など院内感染症が増加するという研究が過去にある様で、そのメタ解析でした。Hb 6.5-9.7で輸血したrestrictive群とHb 9.0-11.4で輸血したliberal群で感染症発症リスクを比較しています。
 Restrictive群で11.8%(95%CI 7.0-16.7%)liberal群で16.9%(95%CI 8.9-25.4%)有意にliberal群で高く、NNHは38との計算結果でした。また、今回メタ解析された研究の異質性は比較的少なかった様です。やはり輸血の閾値は高めにというのが、様々な角度から検証された結果ですね。まあ、出血すれば白血球も無くなりますしね。あとはこれらの結果を受けて、輸血閾値をいくつに設定するかですね。7-8g/dL辺りが妥当でしょうか。

【使用され続けるEzetimibe(ゼチーアⓇ) Ezetimibe prescribing fails to keep up with evidence】*2
 2002年に米国でコレステロール吸収抑制薬として認可され、本邦でも使用されていますよね。で、この薬は結局LDLを下げる効果だけで認可されており、いわゆるメジャーアウトカムに対する効果は証明されていません。2008年のENHANCE研究でシンバスタチンへの追加しても、心血管死はおろかアテロームすら抑制できない結果でした。ENHANCE研究以降、アメリカでは使用は半減しているものの、カナダや日本では使用頻度が増加している状況です。2013年AHAガイドラインでは、「脂質を下げること」を優先せず「スタチンを投与すること」と薬剤限定をしてきているので、今後処方自体がどうなっていくか注目です。

【重症敗血症の死亡率の経時的変化 Mortality related to severe sepsis and septic shock among critically ill patients in Australia and New Zealand,2000-2012】*3
 最近NEJMの特集で敗血症に対する個々のアプローチの検証が行われていますよね。SSCGは成功したかに見えましたがいかに??というところですが、今回は実際、敗血症の予後は良くなっているの検証です。
 オーストラリアとニュージーランドの90%以上をカバーしたデータベースを用いています。2000-2012年のICUに入室した重症敗血症患者(ショック含む)を検証した観察研究です。人数は10万人強で171カ所のICUが含まれています。outcomeは、死亡と自宅退院。結果、経時的に死亡率は低下し、自宅退院率は上昇していました(自宅退院は微妙)。12年で死亡率は35.0%から18.4%に、自宅退院率は、OR 1.03(1.02-1.03)でした。この分野のバンドルはまだもう少し変わる可能性がありますね。


■NEJM■
帯状疱疹様の悪性黒色腫の転移 Zosteriform metastases from Malignant Melanoma】*4
 これは確かに難しいClinical pictures。一見するとHerpes zosterだなあ・・・って思っちゃいます。痛みも痒みもあり、片側性。水疱形成を伴う悪性黒色腫の皮膚転移の診断でした。鑑別は、帯状疱疹後肉芽腫性皮膚炎皮膚サルコイドーシスが鑑別とのこと。ACVヘの反応は乏しく、メラノーマへの治療後14日程度で皮疹は消失しています。

【出生直後の血栓症リスク Risk of a thrombotic event after the 6-week postpartum period】*5
 もともと妊娠中および出産後6週間は血栓症リスクは高いことが知られていますが、それ以降の血栓リスクについては、検証が無かった為、今回調査対象となっています。カリフォルニアの病院で、出産の為に入院した初産妊婦さんを対象。12歳以上でVTE既往患者は除いて2005-2010年までを評価し、アウトカムはcomposite脳梗塞、急性心筋梗塞静脈血栓塞栓症とされています。
 結果は、168万7930人が初産で出産され、その後1015件の血栓イベントが発症。脳梗塞248例、心筋梗塞47例、静脈血栓塞栓720例と圧倒的にVTEが多い結果でした。時期ではやはり分娩後6週間までが最も高く、絶対危険度22.1(19.6-24.6)で、続いて7-12週も軽度ではあるものの有意差が出ており、AR 2.2(1.5-3.1)。12週以降は差は出ませんでした。この結果を受けて、確かに6週まではリスク高いが12週までは有意差をもって血栓合併症が多いので、予防的ワーファリンは継続しても良いかも〜と。