栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

MKSAP:肺動脈弁狭窄症/急性ウイルス性肝炎/肺炎治療の場

【肺動脈弁狭窄症の管理】
 いやあ、これは日米の温度差を感じる設問でした。肺動脈弁のバルーン弁形成術ってほとんど聞いたことがありませんでした。大動脈弁のTAVIは有名ですが・・・
 肺動脈弁狭窄症では、第一選択がバルーン弁形成術なのだそうです。外科的手術よりは低侵襲で安全性も高い。ただ、日本では症例が少ないのか、循環器病学会の弁膜疾患の非薬物療法に関するガイドラインでも取り扱われていません。

 症候性患者では、

①最大圧較差>50mmHg(平均30mmHg)
②弁逆流が中等度以下

 無症候性患者では、
①最大圧較差>60mmHg(平均40mmHg)
②弁逆流がない

が適応基準となるようです。
 
 外科的弁置換術は重症狭窄例では適応で、

  • 肺動脈弁線維輪の低形成
  • 弁上狭窄や弁下狭窄
  • 重篤な弁逆流
  • 心血管合併症が高い

といった症例に適応となります。なるほどー。あとは、設問の英語が分かりにくかったなあ・・・

Bruce CJ, Connolly HM. Right-sided valve disease deserves a little more respect. Circulation. 2009;119(20):2726-2734. PMID: 19470901

 

【急性ウイルス性肝炎】

 急性のウイルス性肝炎は、黄疸と著明なトランスアミナーゼ上昇が特徴。トランスアミナーゼ上昇は通常、正常上限の15倍以上程とされています。GOT>480、GPT>555なので、まあ、500以上と覚えますかね。
 通常、トランスアミナーゼの著明な上昇を来す他疾患の鑑別は、

  • 薬剤性の副作用/中毒
  • 自己免疫性肝炎
  • 虚血性肝炎(ショック肝)
  • 急性胆管閉塞

とされています。
 劇症肝炎には注意が必要ですが、比較的時間が経過して進行するので、脳症やPT、Alb値の経時的モニターが重要。
 これはまあ楽々でしたね。
Green RM, Flamm S. AGA technical review on the evaluation of liver chemistry tests. Gastroenterology. 2002;123(4):1367-1384. PMID: 12360498

【肺炎治療の”場”の問題】
 これも米国と日本では大きく異なる印象ではあります。要は肺炎の重症度評価をして、外来治療なのか入院治療なのか、ICU治療なのかを選択させる問題。社会的入院なんてのはないんでしょうね〜。
 MKSAPではCURB-65押しでした。CURB-65は言わずと知れた市中肺炎の予後予測スコアですね。2点以上を入院管理、3点以上でICU入室を検討しましょうとしています。

ちなみに、スコア毎の死亡率は、

0:0.7%

1:3.2%

2:13.0%

3:17.0%

4:41.5%

5:57.0%

 です。
 さて、今回はこれ以外に、ICUに入室すべきかのIDSA/ATSガイドラインの基準も記載されていました。それによると、CAPの入院管理において、以下のMajor/minor基準を用いることが勧められていました。
 CAP患者の中には、ある一定の割合で一般病床に入院後48時間以内にICUに転床する症例があり、直接ICUに入室した患者と比べると死亡率も合併症も多いという問題がある様です。一方でICUの過剰利用も問題になっており、どの患者を適切にICU入室させるかが議論になっていると。今回Major/minor基準を用いることを推奨していますが、まだまだ未検証の話題で今後検証してvalidationしましょうという事のようです。

Major どちらか1つでも

  1.  人口呼吸管理
  2.  敗血症性ショック

minor 以下のうち3つ以上

  1.  呼吸数>30/分
  2.  PF ratio<250
  3.  複数の肺葉に及ぶ肺炎
  4.  混乱
  5.  BUN>20mg/dL
  6.  白血球減少
  7.  血小板減少
  8.  低体温
  9.  輸液補正を必要とする低血圧

結構ICU入室の適応って病院によってまちまちですし、そもそもICUのsettingもまちまちですしね。

Mandell LA, Wunderink RG, Anzueto A, et al. Infectious Diseases Society of America; American Thoracic Society. Infectious Diseases Society of America/American Thoracic Society consensus guidelines on the management of community-acquired pneumonia in adults. Clin Infect Dis. 2007;44(suppl 2):S27-72. PMID: 17278083