栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

論文抄読会:BMJ & Lancet タミフル微妙/VitD製剤と死亡/水痘ワクチン2回打ち/HCVの今後

BMJ
タミフルのインフルエンザ合併症予防効果 Oseltamivir for influenza in adults and children:systematic review of clinical study reports and summary of regulatory comments】*1
 WHOはタミフルが肺炎や入院を減らすとしてkey drugとして指定していますが。今回ロシェとGSKが未公開データ発表に踏み切ったこともあり、再度質の高いRCTを23個選び、その中でデータが全部揃っている20の研究でSysRevされています。23から20に減った際に、日本のstudyが二つ消えました。成人・小児のインフルエンザ感染と暴露後予防でオセルタミビル群プラセボ群の比較。アウトカムとして有症状期間、肺炎・入院、副作用を比較しています。
 結果は、

成人:

・有症状期間を16.7時間(8.42-25.1時間)短くする
・肺炎は45%減少(0.33-0.90)させるが、NNTは100(67-451)
・嘔気・嘔吐の副作用は多く、それぞれNNH 28(14-112)、NNH 22(14-42)

小児:
・有症状時間は更に効果少なく8.04時間(-33.34〜+17.26)。むしろ症状期間を長くした症例もあったと。
・入院は有意差はつかないものの増える傾向1.97(0.7-5.23)

・肺炎・中耳炎も減らさず

・嘔吐のNNHは19

 予防的投与では症候性インフルエンザは減らす様でNNT 33程度でした。ただ、やはり頭痛・嘔気・嘔吐・精神症状・腎障害は全て増える傾向でした。
 まとめると
タミフルは、症状は短くしても半日程度で、合併症はほとんど減らさず。副作用が多い薬」
ということになりそうです。しかも対象群はプラセボですから、アセトアミノフェンとか漢方との比較試験だと有意差無くなっちゃうかもしれませんね。今後はどの患者群に使用すると最大メリットが得られるかの選別であり、健常人に何も考えずに出す時代は終わりですね。

【VitD製剤と死亡の関係 Vitamin D and risk of cause specific death:systematic review and meta-analysis of observational cohort and randomised intervention studies】*2
 VitD投与と心血管死亡や癌死亡の関連を検証したメタ解析です。RCTのみならず観察研究も多数あり、全部で73の観察研究と22のRCTを評価しています。観察研究では主にビタミンD度と死亡の関連を検証していますが、血中濃度が高い程死亡率が減という結果でした。心血管死・癌死亡・その他の死亡それぞれ。一方RCTではビタミンD3製剤とD2製剤を比較していますが、D3製剤が有意に死亡を減らした(HR 0.89:0.80-0.99)だそうです。
 VitDは結構微妙ですね。現時点ではなかなか積極的に投与しにいく薬かどうかは悩ましいと思っています。骨粗鬆症にも最近negativeなデータも出てきましたし。しかしまあ、ビタミン・サプリ系のstudyはホントに多いですね。

■Lancet■
【水痘ワクチン1回打ち vs 2回打ち Protection against varicella with two doses of combined measles-mumps-rubella-varicella vaccine versus one dose of monovalent varicella vaccine:a multicentre,observer-blind,randomised,controlled trial】*3
 水痘ワクチンが2回打ちになった背景として、1回だけだとブレイクスルーしてしまうため、2回打ちを推奨したものの十分な根拠無し。ということで、今回は水痘既往の無い12-22ヶ月の小児を対象に、MMRV2回打ち群 vs MMR+MMRV群(つまりvaricellaは1回)を比較して、アウトカムで3年follow upの水痘発症率を比較しました。ちなみにVを打たないMMRをコントロール群としています。倫理的にOKなのだろうか・・・
 結果として、MMRV群では37例/3年、MMR+V群(V1回)では243例/3年、MMR群(コントロール群)で201例/3年と有意にMMRV2回打ち群が水痘発症を抑制しました。発症抑制効果として、2回打ち群は94.9%、1回打ち群が65.4%有意差あり。副作用としては15日以内の発熱で2回打ちで57.4%、1回打ちで44.5%、コントロール群で39.8%でした。まあ、2回きちんと打ちましょう!ということを検証したと。
 
C型肝炎の新しい方向性 A new direction for hepatitis C】*4
 WHOはHCVに対して新しいガイドラインを発表しています。中身はその内取り上げるとしますが、抜粋すると、HCVの頻度が高い国では国民ベースのスクリーニングを推奨しています。また、HCV-RNAでの同定を推奨。まあ、この辺は当たり前。で、HCV感染者の第一ステップがアルコール評価になりました。これは、つい忘れがちですが、とにかくアルコール摂取量を減らして、行動変容を促すことを重視するとされています。また、繊維化や肝硬変の評価には、AST/血小板比(APRI)FIB-4値(年齢×AST/血小板×ALT)が推奨されることとなりました。肝生検はサンプリングエラーなども多いと。治療は日進月歩なので、今後推奨がはっきりするまでは特定の推奨はしないとのことでした。繊維化評価のカットオフは様々言われていますが、APRIは0.5、FIB-4は1.45とされているようです。