栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

論文抄読会:JAMA & NEJM Choosing wisely中身/感冒への亜鉛/口蓋垂のみの血管浮腫/重症敗血症へのアルブミン製剤

■JAMA■
【Choosing wiselyの推奨理由 Evidentialy rationales for the Choosing wisely Top 5 Lists】
 Choosing wiselyは2013年の時点で25学会が参加して計135項目の推奨がありますが、これをカテゴライズしてみましたよという記事でした。ざっと目を通して見ると

①推奨するだけの包括的な利益があると言う根拠が不十分
②効果について、適応、容量、頻度などを評価した十分な根拠が無
③high risk,high costなだけという根拠がある
④利益は少ししか無く、high risk,high costという十分な根拠がある
⑤他のlow risk,low costな方法が利益があるという十分な根拠あり

 結果として、②、③が多いらしく76%は積極的に使用する根拠がない、49%は害が増えると指摘し、24%がより費用がかさむと指摘し、16%が費用もかさむうえ、害が増えると指摘しています。

感冒への亜鉛投与 Oral zinc for the common cold】*1
 亜鉛の話題は以前からずっと出ていますが。今回はJAMAでざっくり取り上げられていました。小児も成人も含んだ治療的trialsを全部で14件(13件成人、1件小児)と予防的trialsを2件(両方小児)評価しています。全部で1781例分のデータを用いて、亜鉛の投与とプラセボを比較して、アウトカムは感冒の罹病期間としました。
 結果、亜鉛投与は感冒罹病期間を-1.04日(-2.02 to -0.05)減らすことが判明。また、予防効果もRR 0.64(0.47-0.88)
有意差が出ていました。NNTは驚きの4。ただし、研究毎の異質性が高いこと、亜鉛の内容や含有量も異なる事などから結果は慎重に吟味すべきとしています。副作用は味覚異常と嘔気でそれぞれNNH 8程度。副作用も多いです。
 ・・・なんかBMJに出ていたタミ○ルと似たような結果ですねえ・・・WHOさん、風邪のkey drugに指定して、200億ドルはらって国毎に備蓄しませんか

■NEJM■
口蓋垂のみの血管浮腫 Isolated Uvular angioedema】*2
 STEMIで入院中の男性で過去にアレルギーや血管浮腫既往の無い中年男性。PCI施行後にACE(カプトプリル)を開始。内服30分後に、飲み込みにくさと咽頭痛を訴えた。肺野異常なく、口腔内診察で口蓋垂の腫脹あり。舌や口唇などの腫脹なし。H1拮抗薬+ステロイドで速やかに改善し24時間以内に症状消失。現局性の口蓋垂の血管浮腫は1型アレルギーと言われており、ACEでの発症は稀ではあるが、知っておくことは重要と。

【重症敗血症へのアルブミン製剤投与 Albumin replacement in patients with severe sepsis or septic shock】*3
 過去にSAFE studyという重症患者への5%アルブミン製剤 vs 晶質液(リンゲルとか生食とか)の比較研究で死亡を減らさなかったという結果がありましたが、実はこのサブ解析で重症敗血症やAlb>3gを達成した人では良い傾向があったとして、今回再検証したという形です。
 今回は患者群を18歳以上の重症敗血症もしくはショックでICUに入室した1818人に絞り、Alb >3.0を達成するよう20%製剤投与+EGDT群と晶質液+EGDT群を比較し、アウトカムは28日後死亡で評価した多施設RCTです。ALBIOS研究というかっちょいい名前がついていました。
 結果はAlb投与群の方が平均血圧は高く推移しましたが、プライマリアウトカムには全く変化なしでした。RR 1.00(0.87-1.14)とびったし。まあ、副作用は多くは無かった様ですが、基本的に積極的に使用してもメリットは少ないという見解は変わらず。