栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

論文:EF正常心不全に対するスピロノラクトンの効果

EF正常心不全に対するスピロノラクトンの効果
Spironolactone for Heart Failure with Preserved Ejection Fraction
N Engl J Med 2014; 370:1412-1421

【背景】
 鉱質コルチコイド受容体拮抗薬はEF低下心不全に対する予後改善効果が報告されている。今回、スピロノラクトンのEF正常心不全に対する効果を検証した。
【方法】
 二重盲検RCTで症状のある左室収縮能>45%と低下していない心不全症例3445人が対象。介入群がスピロノラクトン15-45mg群、コントロールがプラセボとした。プライマリアウトカムは、心血管死亡・心停止・心不全による入院のcompositeアウトカム。
【結果】
 3.3年間follow upし、プライマリアウトカムはスピロノラクトン群で320/1722例(18.6%)、プラセボ群で351/1723例(20.4%)発症し、有意差はつかなかったHR 0.89(0.77-1.04)。それぞれの項目では、心不全による入院がスピロノラクトン群で有意に低かった(206例:12.0% vs 245例:14.2%、HR 0.83:0.69-0.99)。全死亡と全入院はそれぞれスピロノラクトン群で減ることは無かった。副作用として、血清クレアチニン値の上昇と高カリウム血症の頻度有意に上昇(18.7% vs 9.1%)した。モニタリングによりCr>3.0や透析といった重篤な合併症は起きなかった。
【結論】
 EF正常心不全では、スピロノラクトン群はプライマリアウトカムの有意な減少は認めなかった。
【批判的吟味】
・ランダム化された二重盲検試験でベースラインの特徴はほぼ同様でした。NYHA ⅡーⅢ程度の心不全が多く、BNPは平均230前後の心不全症例がinclusionされています。
・サンプルサイズの計算もされており、脱落群もITT解析されています。脱落率はスピロノラクトン群で9.3%、プラセボ群で8.8%と結構いますが80%以上は追跡できています。
・有症状の心不全症例とされていて、症状はFraminghamでも使われているような1つ以上の症状+1つ以上の身体所見を採用しています。
・また、inclusion criteriaに①12ヶ月以内の心不全入院歴 or ②BNP≧100のどちらかがある症例という条件が含まれていました。本文中でこの入院歴ベースとBNPベースで比較していて、BNPベースの症例の方が スピロノラクトン効果があるというサブ解析をしていましたが、あくまでサブ解析です。
・地域によるイベント発症頻度が違ったりもするようで、ロシアではイベントが少なかったんだとか。
【個人的見解】
・惜しい!って感じでしょうか。残念ながらいまだEF正常心不全にエビデンスを元にした有効性の証明された薬が出ないですね〜。高齢・女性・EF正常ってのはよくあるパターンなので、再入院も多いし何とかしたいですが・・・あ、再入院だけなら減らすのか・・・
・まあ、体液貯留があってカリウムが許容できれば使用はしても良いでしょうかね。

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http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1313731