栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

身体所見:Terry nails テリー爪

 回診で身体所見を見直そう!ってなったので今回は身体所見特集第一弾です。何回続くか分かりませんが(笑)。

 

 記念すべき第一弾はTerry's nailです。百聞は一見にしかず。これです。

f:id:tyabu7973:20140422221416j:plainWikipedia:Terry's nailsより

 Terry nailsは別名白色爪とも呼ばれる異常で、1954年にDr. Richard Terryというアメリカの医師によって最初に報告されました。この際には肝硬変患者の82/100例で見られ、爪の基部が”ground glass opacity:すりガラス状病変”と表現され、遠位側は正常のピンク色をしていると表現されています*1

 

 典型的には、ピンク部分の幅は1-2mm程度(全体の25%以下)とされており、白色部分が半分程度のものは、Lindsay nails(Half and half nail)とも呼ばれます。(ただし、half and halfは遠位側半分にはメラニン蓄積があり慢性腎臓病に合併しやすいという報告です。)Terryは更に、この所見が爪そのものではなく、爪床における変化であると指摘しています。すごいなテリー!

 
 この爪を来す疾患として、上述の肝硬変以外には、慢性心不全、糖尿病、肺結核、関節リウマチ、ウイルス性肝炎、全身性強皮症、悪性腫瘍などが上げられていました。1955年には、MoreyさんとBurkeさんが、これらの所見が進行性肝硬変で特にアルブミン血症と関連するのではないかと指摘しています。1984年には、HoltzbergさんとWalkerさんが、テリー爪が入院患者の25.2%に認められ、肝硬変、慢性心不全、糖尿病との関連が強いと報告しています*2。それ以外にも、慢性腎不全や脱水、神経変性疾患との関連も指摘されています。まあ、何でもありか・・・

 

 テリー爪は一般的には、爪床の近位側で両側対称性に出現します。一指のみに起こっても良い様ですが、一般的には全ての指に及ぶことが多く、全身状態を反映する所見と考えるのが妥当のようです。JAMAのRational examでも取り上げられ、肝障害ありの患者でこの所見があったら肝硬変の感度 0.43-0.44、特異度 0.97-0.98、陽性尤度比 16-22と報告され、見つけたら肝硬変を強く示唆する所見と言えると思います*3

 

肝機能障害を見つけたら、まずは爪を見てみましょう! 

 

爪―基礎から臨床まで

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