栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

MKSAP:多発性硬化症の急性増悪/甲状腺結節/腎移植後感染症

多発性硬化症の急性増悪の対処】
 多発性硬化症の急性増悪ではmPSL 1g/日×3日のパルス療法を行いましょうと。Optic Neuritis Treatment Trialなどの過去のtrialで検証されています。ただし、病気の回復を早めることが証明されているものの、長期予後についてははっきりせず、効果は限定的といわざるを得ないかもしれません。ステロイド抵抗性の場合には血漿交換を検討。経口のプレドニゾロンは視神経炎以外のMS増悪に対しては使用されているようですが、実際にはプラセボより悪化したという結果もあるようです。当たり前ですが総合医としてはMSの疾患を頭に浮かべることは大事だなと・・・・
N Engl J Med.1992;326(9):581-588. PMID: 1734247

甲状腺結節のマネージメント】
 そもそも甲状腺結節は多くのガイドライン1cmを超えた際にFNAを推奨されています。また、1cm以下でも放射線曝露や、家族歴、頚部リンパ節腫脹、エコーでの悪性所見がある場合には、同様にFNAが推奨されます。

 ”follicular neoplasm”って濾胞腺腫と濾胞腺癌の中間的概念なんだそうです。neoplasmっていうと癌かと思っちゃいました。follicular neoplasmからは、濾胞腺癌の発生率が15〜30%認められ、FNAの所見では良悪性の区別をすることは困難。follicular neoplasmと診断がついた時点で悪性リスクの高い病変との判断となり、follow upなどはせず甲状腺切除により病理学的に良悪性の判断が必要。
 ちなみに、レボチロキシンは腫瘍増殖の甲状腺刺激ホルモンを最小限に抑えるため分化型甲状腺癌にしばしば使用されるのだとか。
Thyroid.2010;20(6):674-675;

【腎移植後の感染症
 腎移植後の患者さんにおける感染症の問題。移植前にドナーもレシピエントもEBVやCMVの抗体価を測ってるんですね~。まあ、免疫抑制剤だらけの状態で発熱・肝機能障害で受診。CMV陽性ドナーから陰性レシピエントへの移植で予防投与しない場合は70〜90%が初期感染を起こすとされているのだそうです。そのうち50〜80%がCMV日和見感染を発症し30%が死亡や重篤な肺疾患を有す。ほとんどの施設は100日(3ヶ月の)予防投与を行うとのこと。病原微生物によってどの時期にどの感染症を起こしうるかは確認しておく必要あり。
 EBVの再活性化は5ヶ月以内。リステリアならば、感染臓器から神経障害などの問診身体所見がありそう。今回初めて知ったPolyoma BK virusは尿管に潜伏感染している常在ウイルスの一つ。腎移植後の腎症・尿管狭窄の原因として知られています。decoy cellsが確認される事でも有名。
Am J Kidney Dis. 2011;58(1):118-126.