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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

疑問:肺炎球菌感染は隔離すべき??

「肺炎球菌のひとって隔離した方が良いですか??」

 って、ひょんなところから質問を受けまして。
「しなくて良いよ〜」
 ってお答えしたんですが、
「PRSPでも大丈夫なんですよね?」
 って再度聞かれました。これを機会に調べてみました。

 

 以下調べたことをまとめてみますが、ボトムラインとしては、

  • 肺炎球菌は頻度の多い常在菌であり、院内感染対策としては伝播予防策は必要
  • 伝播予防策としては原則標準予防策(スタンダードプリコーション)が推奨
  • 一般的には多剤耐性菌については、接触予防策を追加することも検討されるものの、多剤耐性肺炎球菌の場合には標準予防策のみで良いCDCのガイドラインより)。
  • ただし、飛沫または接触伝播する可能性はゼロではないため、周囲の状況によって個室隔離についても検討が必要

 というところでしょうか。まあ、歯切れは悪いですね。以下は、少し長いですが個人的な見解です。

 肺炎球菌は、頻度の多い常在菌であり通常鼻腔などには定着している主要な細菌です。原則的には、感染率は低いと考えられ、肺炎球菌感染者に対しての院内感染予防策としては、標準予防策で十分であり個室隔離は不要と考えています。ただ、肺炎球菌が定着することで、その後発生し得る医療処置に伴う内因性感染のリスクは上げる可能性があります。例えば人工呼吸器関連肺炎では肺炎球菌の考慮が必要です。また、インフルエンザで入院後入院中に肺炎球菌肺炎を発症する事は時折経験されます。標準予防策による接触感染予防は必要と思います。
 もう一つの軸として多剤耐性菌(PRSP)という問題があります。colonizationではあっても耐性菌の伝播は、その後の公衆衛生上の問題に発展しかねません。ただ、CDCは肺炎球菌のPRSPについては、標準予防策でと記載しています。もちろん個室隔離した方がより厳重な管理にはなりますが、それを推奨するだけの根拠が無いということと理解しています。

 また、その耐性菌の頻度やOutbreakの有無によっても異なると思います。例えばオランダはMRSAがほとんどいないとされている様で、こういった国の場合にはMRSAが出た時点で個室隔離というのは”あり”かもしれません。現時点では、耐性菌については個室隔離基準は施設毎に異なるということが実際の所かなと思います。必要以上に個室隔離を行ってムダな病棟移動や患者さんへの負担も避けたいところですが、この辺はバランスの問題かもしれません。
 

 まあ、そもそも当院もまだ古いCLSI breakpointを使用しているので、実際ホンマモンのPRSPなんてほとんどいないので、出たら個室隔離でも良いのかもしれませんが・・・