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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

デスカンファ@4月:在宅か病院か?

デスカンファ

 院内のデスカンファも半年以上経過して少しずつ深まりを見せています。今月は新人看護師さんも新人スタッフも入っての新鮮なカンファでした。今回のテーマは ”在宅か病院か?”

 入院する前までは絶対に病院に行きたくないと言っていた初老男性。妻と死別後は長らく一人暮らしが続きました。数年前に癌を指摘されましたが、当時の医療機関との相性が合わず適切な医療が受けられないでいました。いよいよ具合が悪くなり兄弟を頼ったものの食事が取れなくなり病院に入院となりました。
 点滴などで少し容態が落ち着くとすぐに、「帰りたい、早く帰してくれ」という言葉が聞かれるようになりました。不安を抱えながらも何とか在宅に帰れないだろうか?と兄弟、スタッフが様々な調整をしました。ケアマネさんが精力的に動いて根回しをしてくださり、いよいよ帰ろう!という段階で容態が悪化。最終的に周囲の不安を優先し退院を延期。本人も帰れないと聞いて「あーそうかい。いいよ。」と仰り、最終的に病院での看取りとなりました。

  ディスカッションの中で、本当に帰らなくても良かったのか?本人の気持ちは変化したのだろうか?無理にでも帰してあげたら良かったか?という話題が出ました。

 

 今となっては本人がどう思っていたのかは知る由もありません。ただ、本当の気持ちが言いにくい方も多いのではないかなと思います。普段の忙しい診療の中では、”小さな声”はなかなか聞こえてきません。10分いや5分でもゆっくり話を聞けているだろうかと自問します。小さな声に耳を澄ませて、時には時間を十分取って患者さんの気持ちを推し量っていく作業を大事にしたいと思わされました。

 

 容態が悪化していく中、チームとして最期まで在宅を目指したのは素晴らしいなと感じました。一方でやっぱり帰りたかったのかなあとも思います。家族は不安。この揺らぎに対応しつつ、bestではないかもしれないけれどmuch betterを目指していく努力を続けたいと思います。

 

※個人情報保護の観点から一部情報を変更しています。