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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

デスカンファ:成長する家族

 診療所でのデスカンファレンスがありました。今回のテーマは ”成長する家族”。今回は、診療所の医師・看護師・ケアマネさん、訪問介護のヘルパーさん、訪問看護師さんなど多職種が集まりました。

 認知症が進行し寝たきりとなり訪問診療を開始した方でした。誤嚥を繰り返して、いよいよ食べられなくなりましたが、ご家族は全く迷い無く胃瘻を希望されました。
 ご本人は一見すると何も分かっていない様な印象でした。胃瘻を造設してから2年間を自宅で過ごされ、障害を持った子供さん、外国からのお嫁さん、待望の初孫などに囲まれ、時折初孫の泣き声に反応したりと幸せな時間を過ごしました。
 途中で家族内の様々なライフイベントがあり、ご本人を中心にご家族一人一人が成長していく姿が印象的でした。

 医療者の医学的観点からみたら”胃瘻の適応”では無かったかもしれません。特に診療報酬改訂もあり、35%が経口摂取を目指せという訳の分からないルールを元に胃瘻を巡るやり取りは様変わりしていくのかもしれません。

  この方にとっての胃瘻は大事な大事な2年間を過ごす為の道具でした。結果として初孫の泣き声を聞いて、幸せそうに声を上げる時間が生まれました。胃瘻を作るときにはこんな未来が待っているなんて思ってもみませんでした。どんなに話し合っても考えてもこれは読めませんねえ。
 胃瘻を作る作らないに正解はないんだなと改めて思わされました。大事なのは一緒に一生懸命考えること。思考停止は敵だと思います。どんなに考えても”正解!”というのはないのだけれど、後から振り返ると見えてくることはあるんじゃないかなと思いました。医者も医療スタッフも悩みながら少しずつ成長させられています。

 

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