栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

デスカンファ@5月:先生、医者をやめないでね

 今回は四月から赴任したK先生の症例でした。今回は、当院医師・看護師・理学療法士・MSW・診療所医師・診療所看護師などの多職種が集まりました。

 心不全終末期の患者さん。見た目には呼吸が苦しそうな中、本人は「何ともないです、苦しくない。」と。周りを思いやってか、本心を言わなかった様にも思います。難しかったのは、ご本人を取り巻くご家族様。夫が医者というのが一番のネックだったのかもしれません。また、その他のご家族と夫との意見の相違も多くの悩みを生みました。
 医療者の意見とご家族の意見が相容れず、なおかつご家族の中での意見がすれ違う中、いかにバランスを取りながら、誰かを悪者にせずに、ベストでは無いけれど、ベターなケアを探っていくことの難しさが主題となりました。
 最終的に、ご家族から「先生、医者をやめないでね」という温かい言葉をかけて頂きました。ご家族から見ても主治医としての大きな困難さを伴うケアだったんだろなあと思いました。

 非常に困難な事例の振り返りになりました。主治医だけでなく、看護師・リハビリなどの他職種も多くの困難を感じていました。方針にそぐわない発言を繰り返すキーパーソンを排除しようとする動きが出てきやすい病院医療の中、今回はその方への配慮も忘れずにケアが進んでいった様に思います。とかく、はっきりとした方針を決めたくなる中、みんなふわふわした曖昧な状況を良しとしながら進んでいけました

  個人的に印象的だったのは、看護師さんからの意見で「やっぱり主役は病院?」というキーワードが出てきました。在宅では、患者さん・家族が主役になりやすい(ならざるを得ない?!)のですが、病院や施設では、患者さんや家族よりケアを提供する医療・介護職になりがちです。この部分に関しては自覚的であるべきと改めて思わされました。

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