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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

カンファ:思考過程の見える化/大脳基底核変性症/珪肺の画像所見

カンファ 身体所見 研修医教育 神経 呼吸器 放射線 診断

【思考過程の見える化+病歴・身体所見の強化】
 カンファレンス改革を考えています。というか診療改革なのかもしれません。当院のカンファレンスで症例プレゼンする際に、病歴→身体所見→検査所見→アセスメント・プランまで全てパッケージ化されたサマリーを発表するスタイルになっています。きちんと症例をまとめるという意味では良いトレーニングなのですが、全部結果が出てからまとめるので思考過程が分かりにくい印象でした。場合によっては後出しじゃんけん的な病歴・身体所見もあり。
 今回、取組として、

①Working diagnosisを大事にする。
②病歴・身体所見の段階で、その時点での診断・鑑別をきちんと記載しておく。
③その後の検査結果から更に診断・鑑別をブラッシュアップする

という作業を意識してカルテ記載するようにしてみようかと思います。当たり前の事ではあるのですが、カルテを仮登録しておくと、「とりあえず検査、結果で判断」みたいな流れが多い様に思います。検査前に一度立ち止まって吟味することの重要性、それによって見えてくる思考の流れを皆で共有し、診断エラーの原因になった部分の洗い出しが次の診療に繋がるのではないかと期待しています。本当は研修医時代にやっておくべきだったんでしょうけど・・・誤診率とかも出せるし、色々期待しています。

大脳基底核変性症】
 そんな中検査では診断がつかない症例です。コモンな疾患では無いのですが、典型的な病歴は知っておく必要があります。
 原因不明の神経変性疾患の一つ。大脳皮質と大脳基底核(特に淡蒼球黒質
)の障害がメインです。症状の進行は緩徐で一側上肢から始まり、徐々に同側の上下肢、片側の上下肢へと症状が進行。MMTなどの筋力評価では異常はないのに手指と腕が硬くなるために箸を使ったり、食器を持ったりすることが不自由になるのが特徴。歩行もびっこをひくような感じです。症状の一因として失行が関連すると言われています。最後は歩けなくなり、話しが出来なくなり、口から食事を取るこ
とも出来なくなるという辛い病気ですが、生前に正しい診断がついていないことも多い様です。
 今回、緩徐な経過の片側上下肢麻痺症状で頭部画像異常なし。というプレゼンテーションでした。大変勉強させて頂きました。
http://plaza.umin.ac.jp/~neuro2/cbd.pdf

【珪肺の典型的画像所見】
 栃木県宇都宮市大谷地区という大谷石の採掘場があり、そこの労働者が多い為か珪肺患者さんの割合が多いと思います。珪肺の典型例はProgressive massive fibrosis(PMFと呼ばれる両側上葉の牽引性結節影+リンパ節の卵殻状石灰化(Egg shell calcification)を認めます。上葉は萎縮し、肺門挙上と下葉の代償性肺気腫を来す様です。
 慣れていないと結核との鑑別が難しいのですが、そもそも珪肺結核という概念もあり、画像上の否定は困難であると学びました。最終的にはやはり喀痰検査が必要になりますね。過去の報告では、1963年以降の珪肺結核の頻度は31.1%とかなり高い数字になっていますが、徐々に減少傾向の様です。