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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

カンファ:胸膜痛の部位/抗ヒスタミン薬と肝機能障害/発熱work up中の咽頭痛を伴わない扁桃腫大

胸膜痛の部位】
 胸膜炎など由来の胸膜痛は、肺炎球菌肺炎によるものが多いですが、時折悪性腫瘍や関節リウマチなどの自己免疫疾患でも出現することがあります。さて、その場合の胸膜炎部位と胸膜痛の出現場所の位置関係の話題です。
 胸膜炎があると同部位上に疼痛があるはずです。ところが、しばしば”背部に病変があるのに前胸部痛”などのparadoxicalな症状になることがあります。これって何でだろうねえ?と。
 色々調べてみると、どうも関連痛が関係していそうです。胸膜は臓側胸膜と壁側胸膜に分かれますが、臓側胸膜は疼痛感受性が低い為、壁側胸膜への炎症波及が疼痛の原因になります。壁側胸膜は肋間神経に支配されていて、背部から前胸部に向かって走っているため、背部の胸膜炎でも前胸部に放散痛(関連痛)が出現する可能性があるのではないかという仮説です。なるほどねえ。

 

【抗ヒスタミン薬と肝機能障害】
 肝機能障害の原因検索を行う場合に、薬剤というのは外せませんが、意外なものが肝機能障害の原因になり得るという教訓。 薬剤性肝障害を来す薬剤は漢方も含めて1000以上知られています。こんなの覚えられるかい!と思ったら、NIHが非常に役立つサイトを公開していました。ここに薬剤名を入れるとかなり細かい薬剤性肝障害の情報を手に入れることが出来ます。
http://www.livertox.nih.gov/
 参考までに今回の原因かもしれないcetirizineでもばっちり肝機能障害についての記載があります。このサイトはかなり便利なので今後使っていこうと思います。

 

【発熱work up中の咽頭痛を伴わない扁桃腫大】
 ちょっと回りくどい言い方ですが、発熱患者の全身精査中に扁桃腫大を見つけたとします。でも、気道症状が全く無かったらどう考えるでしょうか?安易に細菌性扁桃腺炎!と飛びつくのはmisdiagnosisということになるかもしれません。
 症状から疾患の検査前確率を予測して身体所見・検査を行う事の重要性は言うまでもありません。ただ、疾患を狙いすぎるあまり、その部位に特徴的な症状が無いものを診断してしまうリスクがあるように思います。
 例えば無症候性細菌尿に対する尿路感染診断、腹痛を伴わない胆嚢腫大で胆嚢炎診断などはしばしば見受けられます。診断におけるbiasの一つではありますが、臨床医が陥りやすいpitfallだと思います。もちろん、高齢者や意識障害患者などで非特異的な症状を呈することはありますが、そういった場合には特に診断は慎重を期すべしと思います。日々精進ですね〜。