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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

デスカンファ:帰れるなら帰りたい?

デスカンファ 6月の開催でした。
今回の症例は病院看取り症例でした。所属病棟以外の病棟看護師も参加し少しずつ輪が拡がってきている気がします。

 十二指腸癌、多発肝転移、腹膜播種の患者さん。前医より「もうやることはないから」と紹介状を持って当院を受診されました。お腹が張って食べられないと。担当医は「食べられるために」と様々検討し、バイパス術まで考慮しますが、最終的には腹膜播種の癒着により困難でした。
 
ご本人は天涯孤独で両親もなく結婚もしていない方。イヌが唯一の家族で、週末は山登りを楽しむ山男でした。入院当初は「食べられるようになったら帰りたい」などの希望がありましたが、徐々に容態が進むと共に、経口摂取もできず、得も言われぬ苦痛を伴うようになりました。最後は十分な症状緩和もやや困難な中、病院で看取りとなりました。
 ご本人は亡くなるまでの期間で、アパート内の家具を整理し、持ち物を処分し、ペットのイヌの次の飼い主まで見つけていました。

  「食べたい」という希望を叶えることが患者さんの希望とQOLのために大事と頑張った症例でした。でも、頑張った末にあまり食べられなかった。でも、振り返りの中で、食べることは出来なかったけれど、「何もできない」と言われた前医とは違って、「食べられる為に頑張ってみよう」という希望が本人は嬉しかったと話していたという情報が出てきました。結果も大事だけれど、それに至るプロセスが患者さんに与える影響は多いなと思いました。まあ「何もできない、何もすることがない」は禁句ですが。

  もう一つ自宅に帰れたか?帰りたかったか?という話題が出ていました。「帰りたい」という希望がある人は帰してあげたいですよね。もちろん帰りたくない人は帰らなくても良いと思います。ポイントは、「帰れるなら帰りたい」とか「帰りたいけど多分無理・・・」と思っている方々。適切な情報提供をしないと「どうせ帰れないし」と諦めていることも多い様に思います。こうゆう状況を許容できれば帰れるよと具体的な状況を説明してあげることは大事です。在宅原理主義という訳ではありませんが、究極「帰れない患者はいない」のだと思います。
(※個人情報保護の観点から一部情報を変更しています。