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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

今週のカンファ:Working diagnosis!/日々是診察/ショックへのアプローチ

Working diagnosis!

 カンファスタイルの変更(これはそもそも診療・カルテ記載スタイルの変更なのですが)をしてから、1ヶ月くらい経ちますが、少しずつ影響が出ています。やったことは、

①病歴・身体所見の時点でカルテを仮登録にしないで確定させる
②その時点で最も疑わしい”Working diagnosis”を記載
③鑑別診断やそれを鑑別する為の検査も記載する

 というシンプルなものです。シンプルなのですが、如何に自分が今まで検査結果を見てから診断を考えていたか、検査を過剰にオーダーしていたかを知る事となりました。また、自分の誤診率も分かります。また、病歴・身体所見から診断までの思考過程が明らかになるので、どの部分の病歴・身体所見が不十分だったかが明確になってきました。これだと、より丁寧に病歴・身体所見を取るようになります。
 一人の後期研修医は、夜中に来院した急性発症の左背部痛患者さんを、

「時間帯・身体所見から考えて尿管結石を疑ったが、CVA叩打痛はさほど強くなく、病歴が合わない部分もあった。腸腰筋徴候が陽性だから後腹膜臓器の病変が疑わしい」

と判断し、最終的に膵炎を診断しました。これは指導医も脱帽レベルでして。思いっきり褒めてあげています。
 先日飲み会の際に、後期研修医達が”Working diagnosis”について楽しそうに語らっているのを見て手応えを感じました。「W/D」と略すらしいです(笑)。特許申請中。

日々、是診察

 毎日きちんと診察して記録を残すことの重要性を再確認。何だか最近基本事項の確認が多いわけで、何年医者やってるの?と言われそうですが。感染性心内膜炎の症例の場合、日々身体所見が変化しますよね。心雑音の出現、Osler結節やJaneway病変の新規出現。全身性の多発塞栓症に伴う諸症状等。きちんと毎日診察しないと気付かない変化も多いです。メリハリももちろん大事ですが、基本の型を大事にしたいです。
 もう一つ記録の問題。当院は未だ紙カルテということもあり、この丁寧な記載が不十分な事が多い様に思います。電子カルテのコピペ文化も問題ですが、記載漏れはそれ以前の問題という気もしています。この部分も少し改革が必要で、少し一工夫出来るかどうか思案中です。

ショックへのアプローチ

 ショックへの鑑別が話題となりました。いわゆる”hypovolemic shock”と判断した場合、消化管出血はどの部分で診断・除外すべきか。吐下血や大量の血便などでは迷わないでしょう。人によっては、胃管や直腸診で判断することもあるでしょうが、十二指腸潰瘍の出血で胃管挿入・胃洗浄で全く血性成分は認めなかったことも時折経験します。採血は急性の出血ではあまりあてにならないですよね。
 やはり病歴でアプローチしたい。少し調べてみると上部消化管出血を予測する病歴として、
①繰り返すメレナ LR 5.1-5.9
②直腸診でメレナ LR 25
③経鼻胃管でコーヒー残渣様排液 LR 9.6
④BUN/Cr比の開大>30 LR 7.5
 とありました。一方で、便に血液が混じる LR 0.05なんだそうで。まあ、大量吐血の場合に時折経験しますが。
 難しいなあ。今回は下痢がmimickだったのですが、ショックになるような下痢って通常あまり経験しませんから、

「突然の下痢+ショックは十二指腸からの出血も考える」

っていうパールはどうでしょう?これ、カンファ中に言えたらかっこよかったのになあ(笑)。