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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

メモ:May-Thurner症候群

メモ 循環器

 昨日のGUPAで取り上げられていた疾患。恥ずかしながら今回初めて知ったのでちょっとお勉強してみます。。

 ”May-Thurner症候群”は、別名"腸骨静脈圧迫症候群"とも呼ばれ、左総腸骨静脈が右総腸骨動脈と交叉する部分で腸骨動脈と第五腰椎の間で左総腸骨静脈が圧排されることで血流障害が起き、血栓形成、左下肢の深部静脈血栓を招く疾患です。

 1957年にMay RさんとThurner Jさんが報告した深部静脈血栓症の一種。MayとThurnerは430症例の剖検例のうち22%に腸骨静脈壁肥厚と膜様線維組織の形成が認められたと報告*1し、これが慢性的な機械的圧迫と動脈拍動の外力による後天的なものではないかと推察しています。
 1967年にCocketさんが静脈造影を用いて、左腸骨大腿DVT発症症例の65%に腸骨静脈圧迫を認めたと報告し、”iliac compression syndrome”と命名しました。


 細かい話ですが、May-Thurner症候群として報告されたのは静脈壁肥厚と膜様線維組織の形成であり、血栓を伴ったものはCocketが報告した腸骨静脈圧迫症候群(iliac compression syndrome)とするのが定義上は正しいのかもしれません。

 慢性経過で進展しそうですが、急性発症することもあるそうで。左下肢DVTを見た時の鑑別として認識しておく必要がありそうです。特発性鎖骨下静脈血栓症としてのPaget-Schroetter症候群とともに特殊型DVTとして探してみようと思います。

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(下記文献より引用)
Patel NH, Stookey KR, Ketcham DB, Cragg AH. "Endovascular Management of Acute Extensive Iliofemoral Deep Venous Thrombosis Caused by May-Thurner Syndrome" Journal of Vascular and Interventional Radiology. Volume 11:10, November–December 2000, Pages 1297–1302