栃木県の総合内科医のブログ

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論文:急性胆嚢炎術後に抗菌薬は必要か:FRENCH研究

急性胆嚢炎術後に抗菌薬は必要か:FRENCH研究
Effect of postoperative antibiotics administration on postoperative infection following cholecystectomy for acute calculous cholecystitis:A randomized clinical trial*1
JAMA. 2014;312(2):145-154. doi:10.1001/jama.2014.7586.

【背景】
 急性胆嚢炎の90%はgrade Ⅰ-Ⅱの軽症〜中等症で占めている。術前や術中の抗菌薬治療は標準化されているが、術後に抗菌薬を使用すべきかどうかは十分な検証がされていないのが現状である。
【目的】
 胆嚢摘出術術後にAMPC/CVA静注薬を投与することで感染率に対する効果を評価する。
【研究デザイン、セッティング、患者】
 合計414人の患者が17のmedical centerで、Tokyo guidelineに基づいた診断・重症度判定を行い、grade 1-2の重症度の胆嚢炎と診断を受け、2gAMPC/CVA静注を3回/日投与を受けている患者。抗菌薬は術前と術中は1回投与を行い、術後にopen-labelの非劣勢RCTが組まれ、2010年5月から2012年8月前でentryされた。
【介入】
 術後に、抗菌薬無し群と抗菌薬継続群(AMPC/CVA 2g×3回を5日間継続)で比較。ただし、早期退院群では経口薬への切り替えが可能とされています。
【プライマリアウトカムと測定方法】
 術後4週間の時点でのSSIや他部位の感染症の頻度
【結果】
 ITT解析が行われ、術後感染症頻度は抗菌薬無し群で35/207人(17%)、抗菌薬群で31/207人(15%)有意差を認めなかった。per-protcol解析では338例が解析され、両群とも感染頻度は13%と差を認めませんでした

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非劣勢マージンは11%で、術後抗菌薬が無くても、抗菌薬群と比較してもアウトカムを悪化させないことが証明された。胆汁培養は60.9%が培養陰性だった。どちらの群もClavian合併症重症度評価は両群とも同様で、スコア0-2は抗菌薬無し群で94.2%、抗菌薬群では87.8%だった。スコア3-4は、抗菌薬無し群で0.97%、抗菌薬群は1.93%でした。
【結論】
 軽症から中等症の胆石性胆嚢炎では、術前・術中抗菌薬を投与すれば術後抗菌薬が無くても術後感染を増やすことは無かった
【批判的吟味】
・非劣勢試験だったので、per-protcol解析が行われていました。ちなみにITT解析も行われています。
・非劣勢マージンも適切に取られていました。
・症例数や施設数もかなり多く十分なサンプルサイズだったのだと思います。
・抗菌薬が日本で適応するには、日本で発売されていない剤形ではありましたが、概ねABPC/SBTで外挿可能だろうと判断しています。
術前の平均抗菌薬期間は約2日であり、切除してしまえば大丈夫という強い裏付けにはなりそうです。
【個人的な意見】
・フランス発のかなり実践的な内容のRCTでした。惜しむらくは非劣勢試験ではなくガチンコRCTでやったら良かったのにとも思いましたが、まあ標準的な治療が術後抗菌薬治療でしょうからこれは妥当な所なんだと思います。
・今まで、術後どうするかなあってモヤっとしてた部分に情報が入ってちょっと嬉しい感じです。
・こういった明日から使えるエビデンスって良いですよね〜。もちろん日本での検証は重要ですし、病院内の外科医とよくよく相談する必要があるでしょうが。