読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

MKSAP:ステロイド性骨粗鬆症の治療/Blastocystis感染/甲状腺乳頭癌の術後後療法について

ステロイド骨粗鬆症の治療

 74歳女性が継続通院外来。一ヶ月前にGCAと診断され、プレドニゾン60mg/日内服を開始した。カルシウム製剤とビタミンD製剤も内服中。身体所見ではバイタル異常なく、BMI 22。BMDはT score -1.5でした。
 追加投薬が必要な治療はどれか?

 key pointとしては、閉経後女性のステロイド骨粗鬆症予防で特にステロイド投与期間が長い場合には、カルシウム製剤とVitaminDとビスホスホネート製剤を投与すべきと。
  高容量プレドニン投与中の患者では、ビスホスホネート製剤の使用が推奨されます。ステロイドは直接的に骨芽細胞と破骨細胞に作用して、骨吸収を促進し骨形成を低下させます。ステロイド性骨量減少の程度は、ステロイド累積総投与量に関係していますが、骨量の減少は特に治療開始した最初の1ヶ月で最も高いことが分かっています。ACRの推奨では、50歳以上の閉経後女性で骨折リスクが低いステロイド骨粗鬆症の予防には、カルシウム、ビタミンDに加えて、ビスホスホネート投与が必要となります。治療は≥7.5 /日の用量で少なくとも3ヶ月間継続すると予想されている場合に適応となります。
 カルシトニンは第一選択にはならず、骨折に対する効果は低く、BMDも他剤と比較すると高くない。USPSTFは、エストロゲンによるホルモン置換療法は反対している。この療法は、乳癌・心血管疾患・静脈血栓症・尿失禁を増やすことが知られています。
Grossman JM, Gordon R, Raganath VK, et al. American College of Rheumatology 2010 recommendations for the prevention and treatment of glucocorticoid-induced osteoporosis. Arthritis Care Res (Hoboken). 2010;62(11):1515-1526. PMID: 20662044

 

Blastocystis感染

 55歳男性。Blastocystisという稀な感染症の継続外来で来院。10日前に、下痢でクリニックを受診したところ、ウイルス性腸炎の診断でロペミンⓇを処方された。便培養が施行され、細菌は陰性だったが、寄生虫検査でBlastocystisが検出された。下痢は24時間以内で改善し、受診時は無症状。内服はしていない。身体所見・バイタルは異常所見無く腹痛もなし。
対応はどうすべきか?

 Key pointは、無症候性のBlastocystis感染は治療は不要であり、陰性化を確認する必要は無いということ。
 そもそもこの疾患と遭遇したことが無い訳ですが・・・無症状の患者でBlastocystisが便から見つかった場合に、治療や陰性確認検査は不要です。Blastocystisは原生動物寄生虫で、米国では便寄生虫検査でしばしば検出されます。ただ、臨床的意義ははっきりしないとか。下痢患者でも健常人でも便から検出される割合が変化が無かったという結果もあり。通常、症状無く数ヶ月も保菌している状態もあるとされ、治療適応は、7日以上下痢が持続し、他の病原体が除外されている症例とされています。治療レジメンは、メトロニダゾール、ST合剤等があります。
 そもそも便培養から有意な起因菌が検出される割合は2-6%とされています。また、ほとんどの軽症〜中等症の下痢症患者は治療不要です。便培養の適応として、症状が重症、重篤な合併症あり、免疫抑制状態、食品や乳幼児との接触する職業の方は、仕事に戻るに辺り便培養陰性が必要となります。
Tan KS, Mirza H, Teo JD, Wu B, Macary PA. Current Views on the Clinical Relevance of Blastocystis spp. Curr Infect Dis Rep. 2010;12(1):28-35. PMID: 21308496

 

甲状腺乳頭癌の術後後療法について

  46歳女性が甲状腺癌術後6週間で来院。Stage Ⅲの転移性甲状腺乳頭癌で、腫瘍サイズは4.5cmで、左葉切除が施行された。転移は頚部リンパ節で、術後にレボチロキシンを内服していた。
 身体所見では、異常所見なくバイタルも正常。頚部診察では手術痕があり、腫瘤やリンパ節腫張はなし。肺音・心音異常なく、Chvostek徴候は見られなかった。採血ではTSH 0.1μU/ml、サイログロブリンは検出せず、抗体は陰性だった。
 適切な治療選択肢は?

 キーポイントとしては、4cm以上の甲状腺乳頭癌は術後に放射性ヨード治療を行い再発と死亡リスクを軽減すべしということ。
 この患者さんの甲状腺癌のStageはリンパ節転移がありT3N1M0、StageⅢと判断される。アメリカ甲状腺学会のガイドラインでは、45歳以上でかつ4cm以上の乳頭癌の術後には、再発や死亡リスクを減少する為に、I131の放射性ヨードによる放射線治療を推奨している。ちなみに、この状態での再発率は12%と高いので、治療が勧められている。化学療法や放射線の直接照射は推奨されていない。

American Thyroid Association (ATA) Guidelines Taskforce on Thyroid Nodules and Differentiated Thyroid Cancer; Cooper DS, Doherty GM, Haugen BR, et al. Revised American Thyroid Association management guidelines for patients with thyroid nodules and differentiated thyroid cancer [errata in Thyroid. 2010;20(6):674-675; and Thyroid. 2010;20(8):942]. Thyroid. 2009;19(11):1167-1214. PMID: 19860577

MKSAP 16: Medical Knowledge Self-Assessment Program

MKSAP 16: Medical Knowledge Self-Assessment Program

 
MKSAP for Students 5

MKSAP for Students 5