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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

メモ:Brinkman indexの歴史

メモ 禁煙

禁煙クルズスで調べていてネタ的に面白かったのでまとめてみます。

 Brinkman indexがほとんど日本でしか使用されていないのは、勉強している方々はご存知と思います。世界的には、Pack-yearを用いて評価し、この指標で死亡率や肺癌発生率などと検証されています。残念ながらBrinkman indexの数値と疾患発生の関連を調査した大規模な研究はほとんどないのが現状です。
 

 このBrinkman indexがそもそも日本人が提唱したindexだということを初めて知りました。提唱したのは西村穣先生。県立愛知病院の名誉院長の先生です。詳しくは以下の「Brinkman index登場のいきさつ」に詳しく書かれていますので、是非読んでみて下さい。非常に興味深いので本文からいくつか抜粋してみます。


 私は昭和39年11月、愛知県がんセンター開院の時、肺癌を担当する為に赴任したが・・・(中略)・・・症例の喫煙歴を上述の方法で記載する欄を設け、それに勝手に「Brinkman index」と名づけた
 (中略)米国ヘンリーフォード病院Dr.Brinkmanの論文を目にしたことがあり、その中で氏が慢性気管支炎の肺機能の検討に際して、喫煙歴を上述の方法で表現しているのを知っていたのである。


いやあ、衝撃です。勝手に名づけたって(笑)。
でも、それまでに記載方法が無かったものを自ら始めるpioneer精神は素晴らしいと思います。これが日本中に広まっていったのだそうです。
 文中にはこれ以外にも興味深い記載がちらほら。以下抜粋してみます。


・Brinkman氏の名前を勝手に付けながら氏に挨拶もしていなかった・・・
・了解を得ずにBrinkman indexと命名したことを詫び・・・
”Brinkman indexとは俺のことか”という意味のことが書いてある・・・
・間違ってブルックリン・インデックスあるいはブリンクリン・インデックスと呼ばれたりしたことがある・・・


 苦労話ですね。というか無許可で始めて許可をとったんですね。興味深いです。一応まじめに考察。
 Brinkman indexの課題として、聞き取りデータなので実喫煙数かどうか分からないこと。このindexやカットオフ値の妥当性が十分な追試・検証されていないこと、同じ本数でも何歳から吸い始めたのかの区別が出来ないことなどがあると思います。残念ながら世界的にはpack-yearが定着していますが、Brinkman indexの名前が出る度に西村先生の事を思い出してしまいそうです。