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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

メモ:性同一性障害のホルモン治療(女性→男性)

メモ 内分泌

性同一性障害の患者さんとは時折お会いする機会があります。

多くは診断はついていてホルモン治療をお願いしますという流れが多いわけですが。
今回時間があり、該当部分についてUptodateで勉強して見ました。以下必要な部分のみ抜粋・意訳です。

"Treatment of transsexualism"


①Goals:
・出生の性別の内因性ホルモンを抑制する。
・新しい性別の2次性徴を誘発する。
 基本的には、ホルモン療法は生理的なホルモン動態と同様になるように調整すべきであり、性転換手術以降も継続する必要がある。重要なことは性ホルモンの過剰投与は不要であり害があるということを説明すべきである事。

②女性から男性へ(FTM
・Androgen治療:
 原則は、月経停止、恥毛発達、男性の生理的輪郭の獲得、男性化が目標。主なホルモン療法はテストステロン療法で、本邦ではエナルモンデポーⓇが使用されることが多い(※2014年8月現在品薄状態)海外では、注射以外にゲルや口腔内崩壊錠もある様子。ヨーロッパでは12週毎の長時間持続デポ製剤もあるんだとか。
・効果
 毛髪、声、体格、面皰、クリトリス肥大、リビド、乳腺発達等に診られる。月経は治療開始後数ヶ月で停止するとされるが、一部の患者さんでは残存することも知られている。
・副作用
 ホルモン過剰状態の場合に注意が必要で、赤血球増多症、高血圧、脂質異常症、肝機能障害、心理的変化などが報告されている。また、心疾患については、死亡および発症について、MTF(男性→女性)では増えることが分かっているが、FTM(女性→男性)では変化は見られていない。ただ、脂質異常などの心疾患リスクは評価すべきである。
 乳癌・子宮癌の増加については、2例のFTM治療中の乳癌症例報告がある。また、子宮癌は3例の症例報告がある。重要なのはホルモンを生理的範疇でコントロールすることであり、ホルモン過剰は合併症に繋がる。
・モニター
 卵巣切除後などでは、特に骨粗鬆症予防なども含め、テストステロン治療を継続する必要がある。性別維持および副作用を減らす為に血清テストステロン濃度を生理学的範疇にコントロールする必要がある。モニターとしては、血清エストラジオールとテストステロン値を測定すべきであり、エストラジオール<50pg/mlかつテストステロン 400-800ng/dLにコントロールする。
 テストステロン注射を受けている患者では、トラフは正常下限、ピークは1000を越えるべきではない。Endocrine Societyから推奨されている測定方法は、最初の一年は2-3ヶ月毎その後は、1-2回/年程度の測定が推奨されている。また、血算、脂質、耐糖能障害、骨密度、MMGなども評価を検討すべきであり、詳細は以下。

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(Uptodate Treatment of transsexualismより引用)