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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

今週のカンファ:糖尿病性網膜症の一致率/多発性硬化症の身体所見/胆石疝痛時のNSAIDs

カンファ 内分泌 眼科 神経 消化器 身体所見

糖尿病性網膜症の一致率

 糖尿病性網膜症は、糖尿病の病期や治療内容の検討の際には欠かせない臨床情報の一つです。例えば、糖尿病患者で腎障害があったが網膜症は無かったので、腎生検を施行したところ、膜性腎症だったなんて経験は時々あります。
 一方で、臨床的に網膜症はありそうなのに眼科診断で網膜症なしになることがあります。中には以前は網膜症と診断されていた方も含まれていて、そもそも眼科医の網膜症診断の一致率や正確性はどうなんだ?というのがカンファの話題でした。偉そうですいません・・・
 Uptodateを確認すると、糖尿病性網膜症診断の十分な経験のある眼科医の診察が重要と記載されています。プライマリケア医の診察は明らかに眼科医よりも診断性に劣ることも過去に報告されています。BMJ. 1996;312(7032):679.
 ある研究では、1949人の糖尿病性網膜症の疫学研究では、3人の眼科医の一致率は86%だったという報告もありました。逆に言えば、14%は異なる結果になり得ると言うことにもなります。臨床医の判断も重要かなと思いました。

 

多発性硬化症の身体所見

 多発性硬化症の最初の診断をつける機会は実は結構レアです。また、過去に診断されている患者さんは通院していた専門医にかかるので、やはりプライマリケア医の前には現れません。今回は多発性硬化症に特徴的な身体所見を経験したので、まとめてみることにします。
 一つは”有痛性強直性痙攣”。これは、自動的あるいは他動的に足を曲げたりする刺激が発作を誘発し、痛みやしびれを伴って一側あるいは両側の下肢が強直発作を示すものです。発作は数十秒以内におさまりますが、痙縮・強直といった症状になります。
 もう一つは、Uhthoff(ウートフ)徴候。これは体温の上昇に伴って神経症状が悪化し、体温の低下により元に戻るもの。例えば入浴や炎天下の外出により視力が一過性に悪化したり、四肢の筋力が低下したりするといった症状。その他にもLhermitte徴候などが有名。時折復習しておかないと忘れます。

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 胆石疝痛時のNSAIDs投与

 胆石疝痛の際に、疼痛コントロールはNSAIDsかOpioidで行うとされています。NSAIDsを使用するかどうか。Uptodateでは過去のstudyからKetorolacを勧めていますが、本邦では発売されていません。その他ではイブプロフェンが勧められています。
 過去の11のRCT 1076人の患者さんの胆石疝痛に対するNSAIDsの効果を評価したメタ解析で、

プラセボよりも有意に疼痛緩和 RR 3.8: 95%CI 1.7-8.6
・鎮痙剤よりも有意に疼痛緩和  RR 1.5: 95%CI 1.0-2.1
オピオイドと同等だった RR 1.1: 95%CI 0.8-1.3

との結果でした。このメタ解析で使用されていたNSAIDsで本邦で使用可能なのは、ジクロフェナクがあります。ボルタレン座薬Ⓡですね。また、NSAIDsは、胆石疝痛の自然経過を改善し、プロスタグランジンを抑制して急性胆嚢炎への伸展を抑える効果があるとの報告が複数あります。