栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

メモ:非心臓手術術前の心臓リスク評価

主要なリスク予測因子

①Recent MI(一般的には30日以内)
 ただし元になった文献では3ヶ月以内の場合に再梗塞率が5.7%と高い事が報告されている。比較群では3−6ヶ月以内では2.3%と再梗塞率は半減。
②最近のPCI
 PCI後、抗血小板薬を内服している患者においてDES(薬剤溶出性ステント)が留置されている患者では、手術時の抗血小板薬中止に伴い再梗塞のリスクが高くなる。
③非代償性心不全や重症弁膜症
 非代償性心不全や重度弁膜症は周術期死亡リスクを上げる。
④重篤な不整脈
 高度房室ブロックや心室頻拍、心疾患のある患者のNSVT、脈拍のコントロールがついていないSVTはリスク。

これらの因子がある場合には、原則手術の延期やキャンセルが望まれる。

 

主要な心臓合併症を予測する6つの因子

①手術が高リスク(血管手術、開腹・開胸手術等)
②虚血性心疾患の既往(MI既往、運動負荷試験陽性、虚血由来の胸痛、ニトロ使用等)

心不全の既往
④脳血管障害の既往
インスリンで治療中の糖尿病
⑥術前Cr値>2.0mg/dL

上記6項目をカウント。

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・Lee TH, Marcantonio ER, Mangione CM, et al. Circulation 1999; 100:1043.
・Devereaux PJ, Goldman L, Cook DJ, et al. CMAJ 2005; 173:627.


■術前リスクが判明するもそれを元にどう行動すべきかは難しい問題。
■最終的には手術リスクと外科的治療の必要度で判断するしか無い。

心臓超音波の役割

心臓超音波所見で手術後の心臓合併症と有意に相関したのは、
①左室収縮能低下 OR 2.0
②中等度から重度の左室肥大 OR 2.1
③大動脈弁圧較差≧40mmHg OR 6.8
Am J Cardiol. 2001;87(5):505.

だった。
他方、心臓超音波検査による左室収縮能低下は心不全を予測するが、あまり情報として有用ではないという報告もある。