栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

メモ:STOPP criteria

Polypharmacyに積極的に関わるようになって、PIMs(Potentially inappropriate medications)を意識するようになりました。不適切の基準として、世界的にはBeers criteriaとSTOPP criteriaが提唱されており、最近では、STOPP criteriaがよく用いられています。
なかなかネット上に日本語のものが無いため、今回拙訳ではありますが、掲載しておきます。間違いなどありましたらご指摘下さい。原文はこちらにある通りです。

 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18218287

STOPP (Screening Tool of Older Person's Prescriptions) criteria

原則65歳以上に適応する

  1. 心血管イベント
     ①慢性腎臓病患者に対するジゴキシン> 125 μg/dayの長期投与
     ②心不全のない足首浮腫のみの患者に対するループ利尿薬
     ③高血圧の単剤治療でループ利尿薬
     ④痛風既往がある患者に対するサイアザイド系利尿薬
     ⑤COPD患者に対する非選択的β遮断薬(主にインデラル・ミケラン等)
     ⑥ベラパミル(ワソラン)とβ遮断薬の併用
     ⑦NYHA IIIかIVの心不全に対するジルチアゼム(ヘルベッサー)もしくはベラパミル(ワソラン)の使用
     ⑧慢性便秘患者に対するカルシウム拮抗薬
     ⑨アスピリンワーファリン併用患者にH2拮抗薬(シメチジンは除く)もPPIも併用していない。
     ⑩ジピリダモール(ペルサンチン・アンギナール)を心血管イベントの二次予防として使用
     ⑪胃十二指腸潰瘍既往のある患者にH2拮抗薬かPPIを処方せずにアスピリンを投与
     ⑫アスピリン150 mg/day投与
     ⑬冠動脈疾患・脳血管疾患・末梢動脈疾患の無い患者に対するアスピリン
     ⑭脳梗塞が原因かはっきりしないめまい患者に対するアスピリン
     ⑮初発の単純性DVTに対する6ヶ月以上のワーファリン使用
     ⑯初発の単純性肺血栓塞栓症に対する12ヶ月以上のワーファリン使用
     ⑰出血傾向のある患者に対するアスピリン・クロピドグレル・ジピリダモール・ワーファリンの使用
  2. 中枢神経系&精神科系薬剤
     ①認知症患者に対する三環系抗うつ薬
     ②緑内障に対する三環系抗うつ薬
     ③心伝導系障害に対する三環系抗うつ薬
     ④便秘に対する三環系抗うつ薬
     ⑤オピオイドやカルシウム拮抗薬と三環系抗うつ薬の併用
     ⑥尿閉既往患者に対する三環系抗うつ薬
     ⑦1ヶ月以上の長期に渡る長時間作動性ベンゾジアゼピン系薬剤使用
     ⑧1ヶ月以上の長期に渡って睡眠薬として抗精神病薬
     ⑨1ヶ月以上の長期に渡ってパーキンソン疾患に対する抗精神病薬
     ⑩てんかん患者に対するフェノチアジン系薬剤
     ⑪抗精神病薬の副作用としての錐体外路症状に抗コリン薬投与
     ⑫臨床的に有意な低ナトリウム血症の既往のある患者へのSSRI投与
     ⑬1週間以上の長期の第一世代抗ヒスタミン薬の継続
  3. 消化器疾患系薬剤
     ①原因不明の下痢に対するジフェノキシレート、ロペラミド、コデイン
     ②重症の感染性腸炎(血便、高熱、SIRS)に対するジフェノキシレート、ロペラミド、コデイン
     ③パーキンソン症状のある患者にプロクロルペラジンやメトクロプラミド
     ④胃潰瘍逆流性食道炎に対して8週間以上PPI高容量投与
     ⑤慢性便秘に対する抗コリン薬(便秘増悪のリスク)
  4. 呼吸器疾患系薬剤
     ①COPDに対する単剤テオフィリン投与
     ②中等度〜重症COPDに対する全身性ステロイド投与
     ③緑内障に対するイトラトロピウム吸入。
  5. 筋骨格系薬剤
     ①出血性消化性潰瘍の既往のある患者に、H2拮抗薬やPPI・ミソプロストールなしでNSAIDs投与。
     ②中等度(160/100〜179/109mmHg)から重度(>180/110mmHg)の高血圧に対するNSAIDs投与
     ③心不全患者に対するNSAIDs
     ④変形性関節症に対する3ヶ月以上の長期NSAIDs投与
     ⑤ワーファリンとNSAIDs併用
     ⑥慢性腎不全患者に対するNSAIDs
     ⑦関節リウマチや変形性関節症に対する3ヶ月以上の長期ステロイド単剤療法
     ⑧痛風の慢性期治療としてアロプリノールの禁忌が無いのに長期のステロイド・コルヒチン投与
  6. 泌尿器系薬剤
     ①認知症患者に抗コリン薬
     ②緑内障に対する抗コリン薬
     ③慢性便秘患者に対する抗コリン薬
     ④慢性前立腺症に対する抗コリン薬(尿閉の危険性)
     ⑤男性の頻尿に対するα遮断薬
     ⑥2ヶ月以上長期に尿道カテーテルが留置されている患者に対するα遮断薬
  7. 内分泌系薬剤
     ①2型糖尿病患者にグリベンクラミドオイグルコンⓇ・ダオニールⓇ)・クロルプロパミド(アベマイドⓇ)
     ②低血糖のエピソードが頻回(1ヶ月に1回以上)にある患者に対するβ遮断薬
     ③乳癌や血栓塞栓症既往のある患者に対するエストロゲン
     ④子宮のある患者に対してプロゲステロンを併用せずにエストロゲンのみ投与
  8. 転倒に関連する薬剤(3ヶ月以内に1回は転倒している患者対象)
     ①ベンゾジアゼピン系薬剤
     ②抗精神病薬
     ③第一世代抗ヒスタミン
     ④起立性低血圧(立位時にsBP 20mmHg以上の低下)患者に対する血管拡張薬
     ⑤長期のオピオイド投与
  9. 鎮静系薬剤
     ①軽度から中等度の非癌性疼痛に対する長期間の強オピオイドモルヒネフェンタニル)投与
     ②慢性便秘患者に緩下剤を併用せずに2週間以上オピオイドを投与
     ③緩和ケアや重度の痛みでは無いのに、認知症患者へのオピオイド投与
  10. 薬剤重複
     ①2種類の同効薬剤の併用(オピオイド併用・NSAIDs併用・SSRI併用・ループ利尿薬・ACE阻害薬)※ただし、喘息やCOPDに対する長期・短期β刺激薬やオピオイドのレスキュー使用などは除く
高齢者のための薬の使い方―ストップとスタート

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