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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

クルズス:Clinical Prediction rules

先週のクルズス内容を抜粋します。
やや硬い内容でしたが整理にはなりました。

 

1.Clinical Prediction rule(CPRs)とは

症状・徴候・診断的検査を組み合わせて点数化し、
その結果から、対象となる疾患を持つ可能性に応じて患者を層別化する。
その際に予測されるアウトカムは多種多様で、a.診断・b.予後・c.治療方針に用いられる。


2. CPRsで予測するアウトカム

①診断 病歴・身体所見・検査結果などの様々な情報を統合し除外診断を含めた診断を予測する。横断研究などがよく用いられる。
②予後 ある医療上の状態が将来起こる確率を予測する。生存期間などの時間的要素が含まれ、コホート研究がよく用いられる
治療方針 治療への反応性を予測することが治療方針へのCPR。コホート研究かランダム化比較試験の介入群のデータが用いられる。


3. CPRsの作成:CPRs作成過程は以下の3Stepがある。

モデル作成段階(Derivation
 データを元にCPRモデルを作成する段階。元研究内のデータを用いてモデルを検証する(内的妥当性)が、これだけでは十分な検証とはいえない。

モデル検証段階(Validation
 別のデータを用いてモデルの検証を行う段階。外的妥当性の検証ともいう。ここが行われているかが重要。正確性が不十分な場合Updateされることもある。

臨床への応用段階(Impact analaysis
 臨床現場での効果を患者アウトカムの改善をもとに判定する。RCTが行われる事も。


4.CPRsの利用に際しての注意点

■目の前の対象集団が予測ルールの作成・検証に用いられた、Derivation cohortやValidation cohortと類似しているか?
inclusion criteriaexclusion criteria大事

■用いられているアウトカムが明確で実臨床に役立つか?

■予測因子が自分の臨床現場で容易に測定できるか?
→例)CURB-65とCRB-65

■ROC曲線のAUCを用いてよく精度を評価。  
0.8以上であれば精度がよいと考える。

■3つのPhaseのどこまでスコアが検証されているか?
→モデル作成段階の利用は時期尚早。

■予測ルールの値を鵜呑みにして、そのままの確率を利用しないようにする。
→検査前確率とベイズの定理の重要性

■%表示は目の前の患者に役に立たないことも多い。
→“80%虫垂炎”という事態は、目の前の患者さんではあり得ない。


5.CPRsの今後の課題

  • 多くのCPRsが作成され、Validationされているが、日常診療に普及していない。
  • エビデンスレベルの高いCPRsが少ない。
  • 同じテーマでたくさんのCPRsが出過ぎていて、どれを利用すべきか迷う。
  • 利用の仕方に慣れていないため、確率での意思決定が苦手。
  • CPRsのガイドラインが作成され、ホームページで公開されているがやや煩雑。
  • 電子カルテやアプリなどの媒体を利用した普及とValidationが重要。

 

 ※以下はClinical Prediction ruleやその元になる病歴・身体所見の走査特性を検証しているJAMAのClinical rational Exam関連の本です。

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