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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

身体所見:head turning sign

"Head turning sign"はAlzheimer型認知症の患者さんで見られる徴候で
質問されると振り返っちゃうってやつ。
いわゆるAlzheimer型認知症で見られる”取り繕い”を表す身体所見です。

Clinical Diagnosis and Management of Alzheimer's Disease, Second Edition

Clinical Diagnosis and Management of Alzheimer's Disease, Second Edition

 

もともとはこの教科書に記載のあった身体所見なんだそうですが、日本人で検証されたstudyがありました。とゆーか、世界的にもまだあまり検証されていない様です。

Can the "Head-Turning sign' be a clinical marker of Alzheimer's disease?

Dement Geriatr Cogn Disord Extra 2011;1:310–317
T.Fukui 昭和大学横浜北部
病院神経内科
【背景】
 
認知症患者さんで質問された際に、介護者に助けを求めて振り返る"Head turning sign(HTS)"は、Alzheimer型認知症で特徴的と言われているが、今回頻度と重症度を調査した。

【方法】
 短い認知症検査(長谷川式)を実施中のHTSの頻度と重症度を評価。対象は外来通院中のAlzheimer型認知症125例、脳血管認知症との合併が4例、MCI 8例、DLB 34例、PSP 8例、脳血管性6例だった。
 ちなみに、HTSの定義としては、

HTS was considered present only when patients turned back to their caregivers in the face of difficulties with the HDSR subitems that the patients could not deal with, and asked the caregivers to help them either explicitly or implicitly.

 介護者には本人の斜め45度後ろで1m離れて座ってもらっています。重症度は単純に回数で、長谷川式実施中1回なら1点、2回なら2点としています。

【結果】
 上記5疾患のHTS頻度と重症度、HDS-Rの結果は以下の通り。

f:id:tyabu7973:20141019082242j:plain
(文献より引用)
 上記の通り、HTSの頻度は他疾患と比較してATDで有意に高く(ATD 41% vs 他疾患 17%,p=0.002)、重症度も高かった(ATD 0.80±1.13 vs 他疾患0.21±0.60.p=0.001)。ATDでは女性とHDS低値がHTSの頻度・重症度と相関していた。

【結論】
 HTSはATDとmCIで頻度が高く、取り繕いと介護者への依存と信頼を表していると考えられる。


なんだとか。
まあ、ちょっと症例数が少ないのとATDばかり来ている神経内科のデータなので一般診療での応用には少し注意が必要かもしれませんが、2012年のJ Neurol Neurosurg Psychiatry 2012 83: 852-853 originally published online February 15, 2012のレビューではHTSの走査特性は以下の様に算出されていました。

f:id:tyabu7973:20141019083728j:plain

感度 60%(49-70%)
特異度98%(95-100%) 
陽性尤度比 24.9(8.0-77.2)

まあ、まだまだ大規模なValidationが必要となることは間違い有りませんが、日常診療で気をつけておくと認知症の型の診断には役立つかなと思いました。
 

f:id:tyabu7973:20031001161747j:plain

http://www.keepbelieving.com/2012/07/18/no-turning-back/より引用)