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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

デスカンファ:介護職員の想い

 今週のデスカンファは施設で行いました。最近この出張パターンが増えているのは大変良い傾向だなあと。本当は2人司会もっとやっていきたいんですが・・・

  80代女性。認知症はほぼなく大変明確に自分の意思表示をされる方でした。約2年前に施設入所。悪性腫瘍による出血と血栓に対する抗凝固療法という医学的にも判断が難しい状況の中、病院入院と施設入所継続かを悩んだ方でした。
  一度入院後、施設に戻りしばらく通院が続きます。食欲はあまり出ない中、帰りに立ち寄るお鮨屋さんでマグロを食べるのが楽しみと。徐々に病状が進行する中、施設でのナースコールも徐々に増えてきます
。途中から訪問診療に切り替えますが、病状は進行。終末期と考えるべきか悩みながら、ご家族と方針を相談し最終的に入院という形となりますが、入院翌日には看取りとなりました。
(一部プライバシーの観点から内容を変更しています。)

  入院になった経緯や本人の意向や人柄、家族の思いなどを共有し振り返りを行いました。とにかく人柄が素晴らしい方で、施設の行事にも積極的に参加し、施設職員に対する配慮が常にあったのだそうです。印象的だったのが、訪問診療を開始するか迷ったときにも「他にもっと具合の悪い方がたくさんいるでしょうから・・・」と。施設でも、「他の人のところに行ってあげなさい」みたいな発言が多かった様です。

 本音が出せなかったのかな?みたいな振り返りもありましたが、ご家族にはお話出来ていた様子。もちろん、気を遣っているんですが、気を遣えなくなってしまうことの辛さみたいなものもあるから、必ずしも本音を出してもらうことが大事では無いよねと。「本当の自分を出せていない!」みたいなことにならない振り返り素敵です。

 何となく最期「良かったね〜」みたいな雰囲気になったところで、施設のスタッフの方が涙を流しながら思いを語ってくれました。

そのスタッフの方は、

 ”「Aさんが徐々に状態が悪化するなかで夜間のコールが多くなり、他の方たちへの対応もあって大変さを感じていた。そんな中、入院となり、正直ほっとしてしまった。そのことを後悔している。最期まで施設で過ごしてもらえたのではないかと。」”

と話してくれました。

多くの施設では看取りをするからといって体制強化がすんなりとできるわけではなく、施設の仕組みからも看取りに適さない環境のところも多いのが実情です。一人の正直な介護職員の想いに触れて、看取りの重さ取り巻くスタッフも含めた細やかなサポートをしていかないと難しいということをあらためて感じました。

 

 

暮らしの中で逝く   -その〈理念〉について- (ホームホスピス「かあさんの家」のつくり方《2》)

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