栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

MKSAP:禁煙指導/腎動脈狭窄/単純性膀胱炎

MKSAPまとめです−。今週は早めにまとめられました!

禁煙指導 Smoking cessation

❶症例
  59歳男性がCOPDと高血圧で定期通院中。80Pack yearの喫煙があったが、最近は10本/日まで減量している。イプラトロピウムアムロジピンを使用中。身体所見では、37.3℃の微熱、呼吸数 22/分、BMI 29。ビア樽状胸郭とび漫性wheezeを聴取。この方の喫煙に対する適切なアプローチは?

 ❷禁煙に関する推奨
 現在の喫煙に関する推奨は、全ての臨床医が①全受診毎にタバコを止めるように勧めることと、②適切にカウンセリングを受けることとされている。タバコ関連の疾患で通院することは、不健康は習慣とその害との関係に気付くチャンスを増やすことに繋がる
 仮に十分なカウンセリング時間がとれないとしても、毎回の受診時に、ごく短くても良いので、明確なメッセージを伝えるべきである。

 ❸Five A's?
 推奨されている禁煙戦略は”Five A's”と呼ばれる。
Ask:全ての患者に受診毎に喫煙について尋ねる。
Advise:全ての患者に禁煙を提案する。
Assess:現在の禁煙に関する興味を評価する。
Assist:資財や薬剤を通して、補助する。
Arrange:次回の外来を調整する。

 ❹行動変容ステージ
 本患者では、患者の真の禁煙への興味がどの程度かが不明である。行動変容ステージが無関心期の状態では、投薬やカウンセリングは不適切なアプローチである。

Key Point
✓ 喫煙は受診毎に評価され、喫煙者は禁煙を推奨され、適切にカウンセリングを受けるべきである

2008 PHS Guideline Update Panel, Liasons, and Staff. Treating tobacco use and dependence: 2008 update U.S. Public Health Service Clinical Practice Guideline executive summary. Respir Care. 2008;53(9):1217-1222. PMID: 18807274

 

 

腎動脈狭窄 Renal artery stenosis

❶症例
  75歳男性が定期外来で徐々に血圧が上昇傾向。54Pack yearの喫煙歴があったが、5年前に一過性脳虚血発作(TIA)を発症後に禁煙。内服薬はβ遮断薬・Ca拮抗薬・利尿剤でコンプライアンスは良好。6ヶ月前に148/82mmHg、3ヶ月前に158/90mmHgだった。
 身体所見では、BP 174/96mmHg、Pulse 60bpm、BMI 20。両側頚動脈雑音と心窩部および左右上腹部に血管雑音聴取。足背浮腫あり。
 採血では、Cr 1.7mg/dL、eGFR 20L/min/m2、尿検査では異常所見を認めなかった。
 マネージメントの次のステップは?

 ❷腎動脈狭窄とは?
 動脈硬化に伴って腎動脈が狭窄することで、腎還流が低下し虚血を起こすことで、レニン-アンギオテンシン系システムが刺激され、Na・水分貯留が引き起こされ、高血圧を来す。
 逆に言えば、腎動脈狭窄を同定し血行再建を行う事で高血圧が改善するのは、解剖学的・血行力学的に有意な狭窄部位があり、且つ、レニン-アンギオテンシン系を刺激する程の重度病変とも言える。

 ❸どの患者に精査を行うべきか?
 腎動脈狭窄の評価は、悪化傾向で治療抵抗性、動脈硬化性疾患があり、レニン-アンギオテンシン拮抗薬によって血清Crが上昇するような症例に行うべきである。
 薬剤抵抗性高血圧は利尿剤を含んだ3種類以上の降圧薬を使用してもコントロール出来ない高血圧と定義されている。精査として、推奨されるのは腎動脈Dopplar超音波で、腎動脈血流と腎サイズを非侵襲的に測定可能である。
 腎動脈造影検査は、腎動脈狭窄症のGold standardだが、侵襲的で合併症(造影剤による急性腎障害やカテーテル操作に伴うコレステロール塞栓症)を起こしうる。

 Key Point
✓ 腎血管性高血圧が疑われる患者の腎動脈狭窄の評価は、以下の患者に行うべき。悪化傾向、治療抵抗性、動脈硬化がある、ACE-i/ARB治療後に血清Crが急に上昇。

Dworkin LD, Cooper CJ. Clinical practice. Renal-artery stenosis. N Engl J Med. 2009;361(20):1972-1978. PMID: 19907044


 

 

単純性膀胱炎 Uncomplicated cystitis

❶症例
  22歳女性が前日からの排尿障害と頻尿、切迫感で受診。2年前に膀胱炎の既往があり、サルファ剤アレルギーあり。身体所見では発熱無く、軽度の恥骨上圧痛があるが、側腹部痛はなく、尿所見では白血球エラスターゼ3+、妊娠反応陰性だった。
 適切な治療は?

 ❷急性の単純性膀胱炎の治療は?
 ニトロフラントイン(本邦未発売)の5日間内服が急性単純性膀胱炎の第一選択である。3日レジメンは、ST合剤やフルオロキノロン3日と比較して同等の効果は得られない為推奨されない。ただし、腎盂炎が疑われる場合にはニトロフラントインを用いるべきでは無い。
 サルファ剤アレルギーが無ければST合剤も第一選択。どの薬剤を使用するかは、地域の耐性状況により、一般的には耐性菌が20%を超えていないか、起因菌の感受性を元に判断する。

 ❸他の薬剤は?
アモキシシリン:基本的に感受性が判明するまではempiricalに用いるべきでは無い。一般的には最も主要な起因菌である大腸菌ペニシリン耐性を獲得しているからである。(※ちなみに当院の大腸菌のABPC感受性は69%とまあまあ)
ホスホマイシン:膀胱炎治療の代替薬の第一選択だが、他の第一選択の薬剤よりは効果が劣る。腎盂炎の際には使用すべきでは無い。3g単回投与あり。
フルオロキノロン第一選択薬剤のアレルギーや耐性がある場合には代替薬となる。また、ST合剤の耐性が20%を超えている地域では推奨。ただし、耐性獲得される可能性が高く温存すべきである。(※ちなみに当院大腸菌では、ST 90%、LVFX 80%・・・)

Key Point
✓ 非妊娠若年女性の急性単純性膀胱炎ではST合剤とニトロフラントインが第一選択である。

Gupta K, Hooton TM, Naber KG, et al; Infectious Diseases Society of America; European Society for Microbiology and Infectious Diseases. International clinical practice guidelines for the treatment of acute uncomplicated cystitis and pyelonephritis in women: a 2010 update by the Infectious Diseases Society of America and the European Society for Microbiology and Infectious Diseases. Clin Infect Dis. 2011;52(5):e103-120. PMID: 21292654

 

MKSAP 16: Medical Knowledge Self-Assessment Program

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MKSAP for Students 5

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