栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

今週のカンファ:家族志向型ケア/腎嚢胞のBosniak分類/深部静脈血栓症と圧迫療法

 

家族志向型ケア Family-oriented care

 急性期病院での内科診療を中心に診療を行っていると、疾患ベースでの診療がメインになってくることが多いと思います。プライマリケア医・家庭医療専門医として、病棟診療の中で、如何に家族志向型ケアを組み入れていくかは一つの課題です。
 以下に藤沼先生が分かりやすく解説してくださっています。


プライマリ・ケアにおいてなぜ家族志向が必要なのか? - 藤沼康樹事務所(仮)for Health Care Professional Education


 シングルマザーのムンプス髄膜炎の症例でした。子供さんがムンプスに罹患して小児科入院され、母も頭痛・嘔吐・発熱でムンプス髄膜炎の診断。支持療法で徐々に改善傾向です、みたいなプレゼンテーション。
 
 ここで、患者本人のみに焦点を絞らずに家族に目を向けていきましょう。

■ 母親入院で、子供達の面倒は誰が?
■ ”入院が継続出来てしまう”ことは問題ないか?
■ 子育てのストレス・疲れは?
■ 家族構成や育児環境の問題は無いか?
■ ムンプスに子供が罹患している時点で、定期的なワクチン接種は行えている?
■ 経済的負担はないだろうか?

 家族に目を向けることで、実は家族を取り巻く社会背景や経済状態、精神心理面などにも目を向けることになります。
 家族図はまだうまく利用出来ていないのですが、診療所のみならず病院でもこの様な視点を大事にしていきたいと思っています。

 ※個人情報は一部変更しています。

✓ 家族志向型ケアを、入院症例にもどんどん適応していこう

 

 

腎嚢胞のBosniak分類 Bosniak classification for renal cysts

 腎嚢胞を診た時に、良悪性を鑑別する為に用いられる分類方法がBosniak分類である。原則として造影CT所見に基づいて分類され、CategoryはⅠ〜Ⅳまで分けられる。

Category Ⅰ 単房性、薄い囊胞壁、内容物は水濃度。

Category Ⅱ 2つ以下の薄い隔壁、わずかな石灰化、3cm以下の高吸収囊胞。

Category ⅡF 3つ以上の薄い隔壁、最小限の造影効果、3cm以上の高吸収囊胞。

Category Ⅲ 厚い不整な囊胞壁や隔壁、明瞭な造影効果、粗大な石灰化。

Category Ⅳ 囊胞壁や隔壁から隆起あるいは浸潤し造影される充実成分の存在

 一般的には、Category Ⅰ・Ⅱは良性であり、ルーチンのfollow upは不要とされています。ただし、診断が正しいか確認したり(CategoryⅡとⅡFの区別が難しい等)、安定しているのを確認するために、6-12ヶ月後に腹部超音波を行うというプラクティスは良く行われています。
 Category ⅡFは悪性の可能性は高くないがfollow up必要。専門家によっては、質の高い造影MRIを推奨
 Category Ⅲは、臨床医によって対応が異なるCategoryですが、50%程度が悪性との報告もあり病理学的検査が必要とされています。Optionとしては、画像followがあり、造影MRIで3-6-12ヶ月後にfollow upというプラクティスも行われています。
 CategoryⅣは85-100%が悪性といわれており、手術が必要です。

 MRIは重要ではありますが、限界の一つに石灰化の同定がCTよりは弱いという特徴があります。悩ましいのはCategoryⅡF・Ⅲですかね。Ⅳは外科的に対処ですし。


✓ 腎嚢胞のBosniak分類は悪性を予測するのに重要。

 

 

深部静脈血栓症と圧迫療法 graduated compression stockings for DVT

 DVTの急性期治療の話題でした。基本的には抗凝固療法を開始しつつ、適応があれば下大静脈フィルターを考慮するわけですが、理学療法はどうするか?

 弾性ストッキング装着について確認してみました。弾性ストッキング・弾性包帯による圧迫療法の目的は、下腿の筋ポンプ作用の増強および微小循環の改善を目的としています。たとえば、静脈圧迫により静脈径が縮小して逆流の減少を引き起こしたり、不全弁の接合が改善したりするとされています。

 ただ、急性期の治療としては、圧迫によって血栓を遊離させて肺塞栓症のリスクを生じるのではないかという危惧があります。これについては、過去の報告で弾性ストッキング着用+早期離床・下肢運動で、肺塞栓症は増えず、疼痛や下腿浮腫の改善が有意に早かったという報告があります。n=15人ずつの小規模studyではありますが。Journal of Vascular Surgery Volume 32, Issue 5, Pages 861–869, November 2000

 血栓後症候群の発生頻度を減らすというエビデンスは多数蓄積されており、これについてはフットポンプも有用だとされています。DVT予防については、弾性ストッキングはなかなか厳しい戦いですが、DVT治療についても明確なエビデンスがあるわけでは無い模様。
 ”臨床的重症度やPEリスクを総合評価しながら注意深く観察する必要がある”
って日本のガイドラインにも書いてありました。

✓ 深部静脈血栓症の治療としての理学療法の効果は十分証明されてはいないが、害があるわけでもない。