栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

MKSAP:ライム病による心筋炎/運動負荷ABI/CPAP関連の鼻症状

MKSAPまとめです。
今週から新レジ登場で楽しい感じですね。

ライム病による心筋炎 Lyme myocarditis

❶症例
  42歳男性3日前からの呼吸困難感とめまいで救急外来を受診。彼はマラソントレーニングをしているが、当初は運動量が多くなったり脱水の時に症状が悪化していたが、運動をやめても水分を取っても症状は改善しなかった。胸痛・発熱・咳はなく、既往歴も特記事項無し。Rhode Islandの大学教授だが、皮膚の刺し傷や皮疹は認めなかった。身体所見では、体温正常、BP 100/60mmHg、Pulse 35bpm、それ以外には特記事項無し。採血上は異常所見なく、心電図はこれだった。

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(問題文より引用)
血清のBorrelia burgdorferiの抗体価は陽性で、WB法でも確認された。
次に行うべき適切な治療はどれか?

 ❷ライム病による心筋炎とは?
 本症例は完全房室ブロックの症例で、血清学的にはBorrelia burgdorferi陽性であり、ライム病による心筋炎と診断される。ライム病の全身症状の一つとして、房室伝導障害があり、無症候性の1度房室ブロックから、3度房室ブロックまで幅広い。

❸治療は?
 2ー3度房室ブロックの症例には経静脈的セフトリアキソンが推奨される。もちろん2ー3度の症候性患者では、入院によるモニタリングも必要になる。無症候性の場合には、通常のドキシサイクリン内服などの外来治療で十分。
 テンポラリーのペースメーカーは場合によっては適応になるが、恒久ペースメーカーは不要。

Key Point
✓ 2度〜3度房室ブロックを合併したライム病による心筋炎の治療には経静脈的セフトリアキソンを用いること。

Wormser GP, Dattwyler RJ, Shapiro ED, et al. The clinical assessment, treatment, and prevention of lyme disease, human granulocytic anaplasmosis, and babesiosis: clinical practice guidelines by the Infectious Diseases Society of America. Clin Infect Dis. 2006;43(9):1089-1134. PMID: 17029130

 

 

運動負荷ABI exercise ABI

❶症例
  72歳男性が3-4ブロック歩いた際の両側大腿痛を主訴に来院。歩行を中止し安静にすると症状は改善するが、歩行を再開すると症状も再度出現する。6-8ヶ月前から症状があり、横ばいの経過。既往歴は高血圧と脂質異常症で、12年前までは喫煙していたFormer smoker。内服薬はアトルバスタチンとリシノプリル。
 身体所見では、血圧132/84mmHg、Pulse 78bpm、RR 16/min、BMI 22だった。膝蓋腱・アキレス腱反射は正常で左右差なく、下肢筋力は正常。腹部・大腿血管雑音は聞こえないが、両側下腿の毛がなく、皮膚もテカテカしている。足背動脈の触知はやや不良で、ABIは両側で0.94だった。
 患者の診断の為に次に必要な検査は何か?

 ❷運動負荷ABIとは?
 本患者は、高齢で喫煙歴もあり、高血圧・脂質異常症を合併しておりPADのリスクが高い患者さんである。この様な患者さんでABIの結果が正常だった場合に、臨床的にPADが疑われる場合には、運動負荷ABIがPADの診断に有用である。症状が出る様な運動直後のABIで20%減少していればPADと診断できる。

 ❸他の検査の特性は?
 血管造影:血管造影は血行再建を行う際に、血管の解剖学的データを必要とする場合に有用である。非侵襲的な検査として、ガドリニウム造影MRAや造影CTが用いられる。但し、これらの検査は血行再建を考慮する患者のみに施行すべきである。
 腰部MRI脊柱管狭窄症を疑う場合には有用。歩行もしくは長時間立位後の下肢痛が特徴的。半分が腱反射が消失するが、通常反射は残存している。筋力低下は頻度としては少ない。

Key Point
✓ 末梢動脈疾患(PAD)の危険因子があるが、ABIが正常範囲の場合には、運動負荷ABIの結果で20%低下すればPADと診断可能である。

de Liefde II, Klein J, Bax JJ, Verhagen HJ, van Domburg RT, Poldermans D. Exercise ankle brachial index adds important prognostic information on long-term out-come only in patients with a normal resting ankle brachial index. Atherosclerosis. 2011;216(2):365-369. PMID: 21397231


 

 

CPAP関連の鼻症状 CPAP associated nasal congestion

❶症例
  52歳男性が、睡眠時無呼吸に対する経鼻CPAPを開始して6週間経過して外来を受診された。患者は鼻閉が強い為に夜間3−4時間以上はマスクを装着できていないと話している。日中の眠気も残存し、妻はいびきと無呼吸はマスクをつけていれば無いことを指摘している。
 身体所見では、 37.4℃、BP122/74mmHg、PR 76bpm、RR 14/min、BMI 26だった。鼻粘膜は発赤あり、漿液性鼻汁。
 CPAP装着のコンプライアンスをあげるための適切な管理は?

 CPAP関連鼻症状とは?
 鼻閉は鼻粘膜の乾燥に起因したCPAP療法の最も一般的な副作用である。CPAP関連鼻症状には加温・保湿のCPAPが単純だが有効な方法である。

 ❸その他の対処方法は?
モダフィニル:CPAP装着にも関わらず、日中の眠気が強く、CPAP装着十分指導しても改善しない場合には、モダフィニルが選択肢にはなる。一般的には3ヶ月以上CPAPを使用しても改善しなかった症例に適応となる。
オキシメタゾール:オキシメタゾールは血管収縮の点鼻薬だが、CPAP関連鼻閉には使うべきではない。局所αアドレナリン作動性血管収縮は中止後にリバウンドで鼻閉症状が悪化することが報告されており、5日以上の使用で起こる事がある為、使用はそれ以下に限定すべきである。
鼻手術:鼻の主従は、症状が軽度や閉塞の程度によって検討する。ただし、CPAP関連の鼻症状の第一選択の治療では無い。手術は一般的には、頭蓋骨・上気道の異常がある場合や、鼻茸・鼻中隔偏位、扁桃腫大などでも考慮する。

Key Point
✓ 保温加湿したCPAP療法は、CPAP関連鼻症状に対して単純だが有効な方法である。

Gupta K, Hooton TM, Naber KG, et al; Infectious Diseases Society of America; European Society for Microbiology and Infectious Diseases. International clinical practice guidelines for the treatment of acute uncomplicated cystitis and pyelonephritis in women: a 2010 update by the Infectious Diseases Society of America and the European Society for Microbiology and Infectious Diseases. Clin Infect Dis. 2011;52(5):e103-120. PMID: 21292654

 

MKSAP 16: Medical Knowledge Self-Assessment Program

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MKSAP for Students 5

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