栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

メモ:腫瘍熱とナプロキセンテスト

腫瘍熱とは?
 腫瘍熱を疑った場合に、何を基準にするかなと思ったら診断基準が提唱されている様ですね。まとめておきます。

Chang らは以下の基準を満たす症例を腫瘍熱と定義しています。

  1. 1日1回8℃以上の熱が出る
  2. 2週間以上続く
  3. 身体所見や各種培養検査や画像検査で感染が否定されている
  4. 薬剤熱や輸血による反応が否定されている
  5. 適切な抗菌薬を7日以上使用しても改善しない
  6. ナプロキセンにより解熱している

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 Neoplastic Fever -A Proposal for Diagnosis. Arch Intern Med.1989;149(8):1728-1730. *1

 

ん?ナプロキセン??


というわけで


ナプロキセン(ナイキサン)テストとは?

 1984年に上記の診断基準を提唱したChangらは、腫瘍熱が強く疑われる患者でナプロキセン投与による解熱効果を検証しました。それが、上記の診断基準にも含まれている訳です。

 身体診察や検査から感染症の存在を除外した上で、ナプロキセンを1回250mg 1日2回投与を行うstudyが行われました。ちなみに投与前に既にempiricalに抗菌薬治療も行われていたりします。

 結果、50例の腫瘍熱のうち46例が完全解熱したのに比べ、感染症症例13例と膠原病4例では完全解熱例がなく、ナプロキセンテストの感度92%,特異度100%と発表しています。
 Chang JC. How to differentiate neoplastic fever from infectious fever in patients with cancer: usefulness of the naproxen test.Heart Lung. Mar;16(2):122-7.1987*2


 おー!と思ったのですが、Changらは診察や検査、エンピリックな抗菌薬投与などで腫瘍熱の検査前確率が非常に高い症例を対象にしている為、実際にはこんなに感度も特異度も高い訳では無く、不明熱の鑑別などで、ナプロキセンを試みたstudyでは、残念ながら不十分な結果でした。
 

 最終的には除外診断ということでしょうが、基準がある事も知っておくと良いでしょうね。