栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

今週のカンファ:脚気の分類/HASBLEDと抗血小板薬/CPPD結晶沈着性関節症の分類

一週間ようやく終わり。今週は家族熱発を良いことに寝坊しましたね。
完全な夜型人間です。

それにしても、カンファの途中で”続きはブログを見て下さい”とまとめるのは良くないなー。その場で結論だそうや、俺(笑)。

脚気の分類 Classification of beriberi

 脚気なんて江戸時代の病気でしょ?みたいな人もいるかもしれませんが、昨今の虚弱高齢者/ネグレクト・セルフネグレクト/アルコール多飲みたいな方々を相手にしている一般内科ではビタミンB1測定も補充もCommonな病棟診療の一つであります。

 ただ、そのなかで脚気!って診断つくのはそんなに多くはないわけですが、今回good job!という形で診断がついたので、分類をまとめておきます。

■乾性脚気 dry beriberi:
 乾性脚気(dry beriberi)は、神経症状がメインの脚気とも言われ、典型的には下肢優位の手袋靴下型感覚障害を来します。病態としては、対称性の末梢神経障害で、感覚・運動神経がどちらも障害を受けても良いとされ、脊髄病変や中枢神経病変とは異なり、深部腱反射は低下するのが特徴です。

■湿性脚気 wet beriberi:
 湿性脚気(wet beriberi)は、心臓合併症がメインの脚気であり、いわゆる脚気ってやつですね。心肥大や心筋症、うっ血性心不全、末梢浮腫、頻脈を伴います。神経症状を伴っても良いとされています。


 脚気は、肥満手術の合併症、下肢の筋力低下や感覚障害、転倒の原因にもなると言われ、当初はなかなか想起しにくい疾患です。Wernicke脳症と合わせて押さえておきましょう。しかしアリナミン点滴は臭いますよねえ(笑)

✓ 脚気はCommon disease。診断・治療に精通しておくべし。

 

 

適応を変更しない-HASBLEDと抗血小板薬- Don't change application. -HASBLED score and antiplatelet-

 出血リスクと血栓リスクを個別化しながら考えることはカンファレンスでも多いわけですが、今回あっ!と思ったのは、抗血小板薬内服についての議論でした。

 抗血小板薬を継続するか否か?という話題の際に、出血リスクの算出にHASBLED scoreを使ったのですが、よく考えると、これって抗凝固薬使用の際の出血リスクだよね・・・という話題に。確かにそうですね。というか、そもそもHASBLEDの項目の中に、抗血小板薬の内服の有無も聞かれていますし。更に言うと、アスピリン等の抗血小板薬の場合には、消化管出血に関しては予防薬としてPPI併用という手段がありますし。
 
 同じ様な内容で、ワーファリンの至適域の話題も出ていました。高齢者心房細動の心原性脳塞栓の予防では、本邦ではINR 1.6-2.6が推奨されています。一方で、血栓塞栓症の二次予防では、INR 2.0-3.0が至適域として推奨されています。これもしばしば対象疾患の適応がすり替わっていることが多いです。

 こういった、適応がごっちゃになることって結構たくさんあるので、時折見直す必要がありますねー。良いdiscussionでした。

✓ スコアや目標値・至適域などを用いる場合には、根拠になっている元研究の対象疾患を明らかにする。

 

 

結晶沈着性関節症の分類  Classification of CPPD disease

 高齢者診療においてCPPDは切っても切れない疾患です。お陰様で膝関節穿刺はかなりfamilialな手技になりますし、Crown densもザクザク出てくるわけですが、実はこのCPPDを単なる偽痛風でしょ?って勘違いされている方もいるかもしれないので、少しまとめ。

 CPPD結晶沈着性関節症の臨床分類は実はかなり多彩です。過去の分類だと、

typeA:急性偽痛風発作
typeB:偽関節リウマチ
typeC:偽変形性関節症(発作あり)
typeD:偽変形性関節症(発作なし)
typeE:無症候性
typeF:偽神経障害性関節症
その他:偽リウマチ性多発筋痛症など

 ね。すごい多彩でしょ。いわゆる我々が偽痛風の発作って呼んでるのはtypeAなんですが、これは全体の25%程度だって言われてます。これはある意味単回episodeな訳で、膝が多いですが、手・足・肘・肩・股関節などを起こしても良いし、crown-dens syndromeもこれに分類されます。
 一方typeBの偽関節リウマチは、慢性経過の関節炎でX線では変形性関節症様の所見がみられる様です。骨びらんは見られず、多発関節炎を来します。頻度はCPPD全体の5%以下と少ないです。ただ、RAとの合併もあるみたいなので、鑑別は慎重に・・・とのこと。seronegative RAとの鑑別は困難でしょうね。
 type CやDが実は一番多くて症候性CPPD全体の50%を占めると言われています。結晶沈着が原因で、変形性変化をきたすものだとのこと。一過性の激しい急性関節発作があるものがC型なんだそうです。”多関節炎を来す偽痛風なんて呼んでるのは是かもしれませんねー。

 また、CPPD結晶沈着性関節炎は、基本的には加齢にともった関節変形や外傷が重要な原因とされていて、OAとの合併が言われています。ただ、若年者の場合には、代謝性疾患の結果として起こる事もあり、血清中のカルシウム・フェリチン・マグネシウム・リン・ALP・鉄・トランスフェリン・甲状腺ホルモン・副甲状腺ホルモンなどを測定しても良いかもと言われておりました。

✓ CPPD結晶沈着性関節症の診断とリスクを整理しておこう。