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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

デスカンファ:ケアの継続性

 デスカンファを毎月行っています。最近はファシリテーターとして呼んでもらえることも出てきて、少しずつ拡がっている感じがあります。

  70代男性。心筋梗塞で急性期病院に入院。それに対する治療は終わったのですが、その後繰り返す誤嚥性肺炎、胆嚢炎等で見る見る廃用症候群が進行し、胃瘻造設・ミニトラックⓇ留置のまま当院に転院という形でした。医学的には当院でも経口摂取リハビリは進まず、入院期間中に何度か嚥下性肺臓炎や消化管トラブルを起こしました。
 患者さん自身は、親族が当院に入院されたこともあり、”患者さん”になる前から
当院スタッフとの関わりがあった様です。当初から経口摂取への希望を捨てずに、何とか食べたいという気持ちから、ご家族がこっそり差し入れして、食べて、誤嚥して・・・という状態を繰り返した様でした。
 また、入院中終始一貫してせん妄状態でした。当院では、最近せん妄ケアを非薬物療法を中心として、可能な限り薬物使用は行わずに対応しており、この方も5ヶ月以上にわたる長期入院中、一度も薬剤を使用せずにせん妄対応をする事が出来ました。
 最終的に、妻が入所している施設への入所を果たすことが出来ました。ただ、入所後にせん妄から施設での対応が困難となり、別な認知症専用施設へ移動、そこから誤嚥性肺炎を引き起こし亡くなられました。

(一部プライバシーの観点から内容を変更しています。)

  Medicalにやるべきことがたくさんある方の中で、本来の目的を見失わずにケアが出来るかというチャレンジングな方でした。ぶれずに経口摂取訓練を行いつつ、本人・ご家族にとって最も望んでいた、夫婦での施設生活を短期間でも実現できたことは大きかったなと思います。

 課題だったのは、ケアの引継でした。当院でせん妄に対する非薬物療法での対応がうまくいき、せん妄に上手く対応しながらの入院生活を過ごすことが出来ましたが、施設入所後、施設内でのせん妄対応は相当に難しかった様です。 

 退院時に、せん妄への対応などの十分な引継が出来なかった可能性がありました。地域包括ケア時代の病院として、最低限ケアの引継はきちんと行っていく必要があります。逆も然りなのですが、「施設の変更=ケアのintensityの断絶」という形は避けたいと感じました。ケアの連続性、切れ目のない連携が必要ですね。