栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

今週のカンファ:鉄欠乏性貧血と反応性血小板増多/髄膜癌腫症/鑑別無くして検査なし

今週は何があっただろうなあ・・・
カンファ少し頑張らなければ・・・

鉄欠乏性貧血と反応性血小板増多 Iron deficiency anemia and reactive thrombocytosis

  最近やたらと鉄欠乏性貧血の患者さんがたくさんいますね。ある程度精査を行っていくわけですが、鉄欠乏性貧血の場合に、血小板増多が参考になるというのはティアニー先生のパールです。

ティアニー先生のベスト・パール

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ティアニー先生のベスト・パール2

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今回、あらためて血小板増多の中で、反応性血小板増多症(reactive thrombocytosis)についてまとめてみました。血小板増多症の中で、反応性血小板増多は70%を占めると言われています。反応性血小板増多の原因はIL-6だと言われており、ある連続した91人の患者のデータによると、

 感染症 31%
 感染症+外科手術後 27%
 外科手術後 16%
 悪性腫瘍 9%
 脾摘後 9%
 急性出血または鉄欠乏性貧血 8%
            Am J Med. 1994;97(4):374.

の頻度だった模様です。
というわけで病態は整理しておきましょう。

✓ 血小板増多の多くは反応性血小板増多症である。鉄欠乏性貧血に合併することがある。

 

 

髄膜癌腫症 Leptomeningeal carcinomatosis

 髄膜癌腫症は、中枢神経以外の悪性腫瘍が髄軟膜やくも膜下腔へび漫性へ浸潤し、脳脊髄実質には転移性の腫瘤形成を示さないものとされている。別名”癌性髄膜炎”とも言います。

 なかなか経験する機会が少なかったので簡単にまとめてみます。転移性脳腫瘍全体の5%程度と言われ比較的稀です。ただし、無症状や診断がついていない症例も多く、剖検例では20%に認めたと言う報告もあります。また、転移性脳腫瘍は50-80%で合併しているといわれています。

 原発巣で最も多いのは、①乳癌 12-35%、②肺癌 10-26%、③悪性黒色腫 5-25%、④消化管悪性腫瘍 4-14%、⑤原発不明 1-7%の順だとされています。

 症状についてまとめた150症例のreviewでは、頭痛39%、嘔気・嘔吐25%、下肢筋力低下21%、小脳失調17%、意識変容16%、複視14%、顔面筋力低下13%とされています。それ以外では、くも膜下腔への浸潤により脳神経症状や痙攣が出現する可能性があります。脳神経症状では、動眼神経・滑車神経・外転神経麻痺による複視が最も多い症状ですが、三叉神経障害による顔面痛や顔面の痺れ・感覚異常、感音性難聴などが起こり得る。

✓ 髄膜癌腫症は稀な合併症で、脳実質に腫瘤形成を来さないため、画像で診断が難しい。

 

 

鑑別無くして検査なし No DDx, No tests

 これはもうひたすらに言い続けるしかないことなのでしょうか・・・最も基本的な臨床技能として、病歴・身体所見があります。そして、この際に、最も重要なことの一つが鑑別診断を思い浮かべながら、病歴・身体所見を取るということです。

 漠然とルーチンでSystem reviewを続けるのみでは、いつまで経っても成長しません。惰性で取った病歴・身体所見では、何も診断に寄与せず、いたずらに検査や他科コンサルトに終始することになります。

 少なくともカルテには鑑別診断を記載しましょう。後から見ても、何故この検査をオーダーしたのか、何故他科にコンサルトしたのか全く分かりません。Working diagnosisとともに最低でも3つは鑑別診断を記載する癖はつけましょう。

✓ No DDx, No tests!

診断推論Step by Step 症例提示の6ステップで鑑別診断を絞り込む

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