栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

身体所見:Hoover's sign

"Hoover's sign"COPDの身体所見として有名ですね。

 詳しくは、呼吸器内科医ブログの先生が下記の記事で解説されています。神経内科verと呼吸器verがあるんですよね。


Hoover徴候の提唱者:Charles Franklin Hoover : 呼吸器内科医

 ただ、実は厳密に言うと少し誤解されている部分もあります。ここから先は、細かいなあ、おい!というレベルの話ではありますが、興味のある方はお付き合いください。

 Hoover's signは、”吸気時に肋間が陥凹すること”と考えられていることが多い様に思います(かくゆう私もそう思っておりました)が、実際は、

”inward movement of the lower lateral rib cage during inspiration.”

と記載されています。これ、直訳すると”吸気時に下位肋骨が内側に動くこと”とされます。あれ?ちょっと違う・・・

「百聞は一見にしかず」なので、動画を載せますね。


hoover.sign.non.obstructive.wmv - YouTube

これの動画内でも解説されていますが、要は肋間筋の問題ではなくて、胸郭の問題だという話です。
この辺の下りはSapiraにもかなり詳しく記載されておりHoover's signの身体所見の取り方を、

①仰臥位にして、患者の正中線に向けて身を乗り出す
②右手を患者の左肋弓下に、左手を患者の右肋弓下にあて、母指を正中の肋骨縁においておく。
③患者に深呼吸してもらい、肋骨縁が内側に移動し、母指で形成される肋骨角がより急峻になる

のだそうです。

ちなみに蛇足ですが、この肋間筋の陥凹自体は、inward intercostal movementと呼ぶのだそうです。で、更に言うと、通常痩せた男性では、吸気時には陰圧がかかるので肋間筋は陥凹します。これが極端に誇張されるのが、このinward intercostal movementで、閉塞性・拘束性肺疾患で起こるとされています。

まあ、細かい話ではありますが・・・

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